2014年6月27日金曜日

micro iDSDいよいよ発売決定!そして7月19日は・・・!!!

micro iDSDの発売日が7月19日に決定しました!

【Phile-web】iFI-Audio、「micro iDSD」正式発表 - 試作機よりスペック向上
【AV Watch】iFI-Audio、7万円を切るDSD 512/PCM 768対応ポータブルアンプ「micro iDSD」7月19日発売
【IT Media】DSD 512まで対応:トップウイング、仕様変更でパワーアップした「micro iDSD」を正式発表
【StereoSound】最大DSD 512/PCM 768に対応するiFI Audioのヘッドフォンアンプmicro iDSD
【Gaudio+PCオーディオfan】iFI-AudioがDSD512&DXD768kHz対応のDAC/ヘッドフォン・プリアンプ「micro iDSD」発売


そして、この日は中野で「ポタ研」!

ポタ研2014夏


さらに・・・
DSD256録り下ろし音源のついたNetAudio誌の発売日!


曲はTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの書き下ろし新曲「Visible invisible!」



モンスター降臨祭の準備はできた!!

micro iDSD開発(22)スーパー・デューパー仕様2.1(USBポート)

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月24日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-otw-1-audio-has-a-new-order-did-you-guess-correctly-page-71/990#post_10658655



CCK/OTG USBポート



背景
今日、ハイファイポータブルオーディオは隆盛を見ており、衰える気配はありません。回りを見渡して、どれほど多くのIEM(インイヤーモニター)が売られているかを見れば、移動時にオーディオを必要とする人の数の多さがわかるでしょう。

micro iDSDのクラウドデザインで、CCK/OTG接続が提案され、今それが実現しました。

説明
スマート機器をポータブルトランスポート+DACとして使うには、2つのオプションがあります。

1. Appleの場合:これにはCamera Connection Kit (CCK)があります。これは以前の30ピン・バージョンです。新しいUSBアダプターは9ピン・バージョンですが、どちらも基本的には同じです。

2. Androidの場合:サムスンからOn-The-Go(OTG)ケーブルが発売されています。

CCKとOTGは、どちらも一方に専用接続端子を、そしてもう一方にUSB “A”タイプのソケットを装備しています。


USB “A”タイプのソケットには、「通常は」短いUSBケーブルが付いていて、これがUSB “B”タイプのポートに接続できるようになっています(大半のDACはこのポートを装備しています)。

micro iDSDでは、これは不要です。というのも、micro iDSDはタイプ“A”プラグを装備しているので、CCKとOTGケーブルを直にmicro iDSDに接続することができるようになっているのです。

こんな感じです。



家のデスクトップのメインシステムで、USBケーブルでmicro iDSDに接続する時は、USBアダプターのどちらかを使えばOKです(どちらのアダプターもiDSDの箱に同梱されています)。



リスナーにどのような恩恵があるか
無比の利便性を備えた両方の世界の最高のものが手に入るのです。

ポータブルオーディオ = スマート機器 + CCK/OTG + micro iDSD > インイヤーモニター

デスクトップ&ホームオーディオ = コンピューター + USBアダプター + micro iDSD > ヘッドフォン&インイヤーモニター

追記
Apple用の再生プレーヤーソフトには、iTunes、Onkyo HF Player、Cappriccio、Hibikiなどがあります。
Android用の再生プレーヤーソフトは、もっとも使われているものを使うのがいちばんでしょう。USB Audio Player PRO (UAPP)です。

micro iDSD開発(21)スーパー・デューパー仕様2.0

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月22日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-otw-1-audio-has-a-new-order-did-you-guess-correctly-page-71/960#post_10653697


すでにnano iCANやmicro iCANを使ったことのある人には、これからmicro iDSDにも搭載されることになっているXBassの仕様は、おなじみのものでしょう。

しかし、そうでない人のためにこれを用意しました。興味深いと思いますよ。

XBass
(ヘッドフォンは、すべてが同じように作られているわけではないのです)

背景
「ラジオを聴いていると、私は場違いなところにいると感じる。
高音だけでは解消できない何かが、確かに失われているのだ。
私の顔を見れば、私の弱点を言い当てることができるよ。
私はすっかり低音に取り憑かれているのさ。」

The Puretones – “Totally Addicted to Bass”
ピュアトーンズ(イギリスのロックグループ)の「低音に夢中」 


「完璧な低音レスポンスを生み出すヘッドフォンはひとつとしてありません。」

説明
録音が異なれば、そしてヘッドフォンが異なれば、低音が不足していると感じることがよくあります。

低音があるべきか、ないべきか – それが問題だ、なんてことはここではありません
偉大な音楽を聴くのは、常にポジティヴな経験となります。最高に質素なシステムから最高に高額なシステムに至るまで、どのシステムも大きな楽しみをもたらしてくれます。しかしながら、ピュアトーンズの歌のように、もしも低音が適正でなかったら、「高音だけでは解消できない何かが、確かに失われている」のです。

ヘッドフォンによって、低音のパフォーマンスは大きく異なります。驚異的な低音を聴かせるヘッドフォンもあれば、完璧で公平な低音を聴かせるヘッドフォンもありますが、多くは低音が弱かったり、深刻なほど不足していたりします。これと製造コストには、直接的な関連はありません。むしろあまり高価でないヘッドフォンでも鋭い低音を持っているものもありますし、もっと高価でも低音が欠けているものもあるからです。もちろん、低音のパフォーマンスはヘッドフォンの音質の一要素にすぎないことは、言うまでもありません。

異なるヘッドフォンの代表的な周波数レスポンスです。


左端のものは“理想的なカーブ”を描いています。“ヘッドフォンはこうあるべき”という数値です。しかし、現実のヘッドフォンはこうはいきません。残りの3つは、“実際に売られている”ヘッドフォンの例で、低音のレスポンスが異なっていることを示しています。

左から2番目から見ていくと、現行製品のExample 1は非常に良好な低音です。
こういったヘッドフォンはきわめてまれです。

Example 2は低音に多少の減衰があります。これは、かなり高価なヘッドフォンでもよく見られる傾向です。このカーブはUS$1500のヘッドフォンのものです。このヘッドフォンはあらゆる点で優秀で、これまでに作られた中でも最高のものなのですが、それでも低音が若干欠けています。悪いとは言わないものの、常にもう少し低音がほしくなってしまいます。

Example 3は多くの小型ヘッドフォンの典型です。低音がはっきりとわかるほど欠落しています。最低域は、少しというレベルではなく、かなりの部分が“行方不明”状態です。こういったヘッドフォンははっきりと低域が欠落して聞こえます。うすっぺらで、ひ弱で、満足を与えてくれません。どうしてもある程度の修正が必要です。

示されていないもうひとつの可能性は、ヘッドフォンの中には非常にヘビーな、強調された低音を持っているものがあるということです。DJ用のヘッドフォンやある種のインイヤーモニターのタイプがこれにあたります。音楽や趣味によって、これは良いこととも良くないこととも感じられます。こういったヘッドフォンを聴く際は、ヘッドフォンアンプが非常に良好なダンピングファクターを持っていることが重要です。余分な低音が、ブーミーになることなく、うまく制御されるからです。実際のヘッドフォンがどんな感じなのかを示すために、HeadRoomによって計測された4つの異なるヘッドフォンの比較表をお見せしましょう。



iFiでは、多くのヘッドフォンが持つこの共通の低域の問題に気づいていました。奇妙なことに、最高の低音を持ったヘッドフォンが、最高にクリアな中域や最高のイメージングを持っていることはめったにありません。こういうわけで、ヘッドフォンを購入する時には、妥協を強いられることが多いのです。

i) ほぼすべてを備えているヘッドフォンを買って、低音は少しばかりあきらめるということもできるでしょう。プレーヤーのソフトウェアによって、イコライザーの機能を調節して、低音の欠落を補うこともできるでしょう。しかし、これではDSPを使用することになり、それでは音楽信号はもはやビットパーフェクトではなくなってしまいます。

ii) そしてもちろん、iPodやノートパソコンでは、限界が明白になります。出力パワーに限界があるので、イコライザーをかけた低音に必要な余分なパワーが供給できず、音が歪んでしまうのです。そうすると、ボリュームを絞らなければならなくなるのですが、その代わり失われた低音を少し取り戻すことができます。それでも、そんなに自然には聞こえないことが多いのも事実です。これらのイコライザーで、ヘッドフォンの欠陥を補うように適正に作られているものは、ほとんどないからです。

Enter XBass...
XBassの出番です…

リスナーにどのような恩恵があるか
もしも所有しているヘッドフォンに、深い、クリアな、堅固な低音が欠けていて不満を感じているなら、何か“エキストラ”なものが必要です。それが“エキストラバス”です。XBassは、“消失していた低音”を取り戻し、リスナーは望み通りのレベルを選ぶことができます。他のiFi製品と同様に、これはアナログ領域で実行されますから、音楽信号はオリジナルのままです

さらに、XBassはmicor iDSDのヘッドアンプに組み込まれていますので、歪みを生じさせることなく、低音を取り戻すのに十分なパワーを持っています。“エキストラバス”はタイトで、歯切れが良く、精確です。


XBassはmicro iDSDに組み込まれています(nano iCANとmicro iCANにも同様に組み込まれています)。スイッチをONにするだけです。特定のヘッドフォンや特定のトラックには合わないと思ったら、スイッチを切るだけです。

あなたのヘッドフォン&イヤフォンに最高の低音を実現したければ、XBassを検討してみてください。

2014年6月26日木曜日

micro iDSD開発(20)OTW(この世のものとは思えない) #2

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月19日の投稿------------
http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-software-design-update-5-three-filters-each-for-pcm-and-dsd-enjoy-it-your-way-page-71/885#post_10646012

Turbo/Normal/Eco + iEMatchで完璧なヘッドフォンの組み合わせを

背景
どんなオーディオシステムでも、アンプとトランスデューサーとのマッチングはもっとも重要です。

スピーカー市場では、スピーカー+アンプのマッチングは典型的に行われていて、うまく行っています。
つまり、パワーの弱いアンプは能率の高いスピーカーと組み合わせるのです。
その逆も同様で、強力なパワーのアンプは能率の低いスピーカーと組み合わせるのです。

しかしながら、ヘッドフォン市場では、ヘドッフォンとヘッドフォンアンプとのペアリングは、まったくと言っていいほど一貫していません。そのため、マッチングがうまくできていないのです。ヘッドフォンをドライブするのに十分なパワーがなかったり(印象の薄いサウンドになるのが典型です)、インイヤーモニターをドライブするのに莫大なパワーのヘッドフォンアンプを用いたり(ボリュームコントロールで音量を制御できず、あまりにヒスノイズが増えるというのが典型です)、ということになるのです。

説明
ヘッドフォン市場において、私たちは現在発売されている事実上すべてのヘッドフォンをテストしたのですが、その結果に私たちはショックを受けました。

現在販売されているヘッドフォンを調べたところ、もっとも能率の高いIEM(インイヤーモニター)と、もっとも能率の低いヘッドフォンでは、53dBもの差があることがわかったのです。これは絶対に莫大な開きです(うるさいディスコと静かな図書館ほどの差で、わずかとはとても言えません)。

この能率幅の一端にあるのが、HiFi ManのHE-6で、他のどんなヘッドフォンよりもパワーを必要とします。90dB/Vとされているこのヘッドフォン界の“ハマー“(アメリカの高級大型SUV)を適正なレベルでドライブするには、3000mWが必要になります。こういったものを低能率のヘッドフォンに分類しましょう。



ところで、市販されているK1000(AKG)のような旧来の製品は、クレージーなほど低い84dB/Vとされているのですから、これはもう“怪物”状態ですよね。


能率幅の反対の一端にあるのが、超高能率のIEMです。ゼンハイザーの IE800は、143dB/Vとなっており、これならiPhoneのわずか15mWでもドライブできます。デジタルボリュームを50%程度にしておけばOKです。それを越えると、耳に障害を与えるレベルになってしまいます。こういったものを超高感度IEMに分類しましょう。


 
こういったヘッドフォンやイヤフォンをすべて扱うことのできるヘッドアンプにはまだ出会ったことがありませんが、それは驚くにはあたらないでしょう。ましてや、ポータブルで、しかもヘッドフォンのすべての能率幅を扱うことのできるDACヘッドアンプなど、出会ったことがないのは言うまでもありません。

注意:db/mWは直接には比較できません。私たちはすべてのヘッドフォンの感度を1Vの信号に合わせて測定しましたました。iPhoneの最高出力に近いからです。

最高出力とヘッドフォンの完璧な組み合わせは、どう考えるのがベストか?
Micro iDSDは、4000mWの最高出力を持っています。

ポルシェ911ターボSは最高出力560bhpを誇っています。このパワーをすべてアスファルト道路に投入して、ドライバーが要求するとおりに道をグリップすることができるようになるために、ポルシェはSport Plus/Sport/Comfortというモードを用意しています(下のSportボタンを見てください)。その完璧なセットアップに照準を定めるために、ポルシェ・ダイナミック・シャーシ・コントロール(下のPDCCボタンを見てください)は、クルマのドライブトレーンの全体をさらにファインチューニングし、最高のグリップを確保しています。


micro iDSDはTurbo/Normal/Ecoのモードを持っており、 これらをiEMatchと連携して用いることによって、リスナーは使用するIEM及びヘッドフォンにぴったりと合ったモードを選ぶことができます。

猛獣を解き放ってやりましょう(micro iDSD  + あなたのヘッドフォンのことを言っているのですよ! 911ターボじゃなくて)

リスナーにどういう恩恵があるか
このOTW #2は、ヘッドフォンとmicro iDSDの完璧なマッチングについて述べているのです。

最初の最初から、ゼンハイザーの IE800からHiGFi ManのHE-6に至るまで、micro iDSDのパワーモード + iEMatchの組み合わせによって、リスナーは完璧なマッチングを選ぶことができるのです。



これが一例です:
HE-6: Power mode = Turbo and iEMatch = Off
IE800: Power mode = Eco and iEMatch = Ultra-Sensitivity 超高感度

これらはもちろん両極端の設定ですから、他のヘッドフォンやインイヤーモニターでは、パワーモード + iEMatchで異なった設定を調節し、ぴったりのものを選ぶようにしてください。



この設定がうまくいったら、micro iDSDのアナログボリュームコントロールは、12時あるいはそれを越える位置に上げることができます。このボリューム位置でmicro iDSDは最高の状態を発揮し始め、音楽を輝き渡らせるのです。

53dBの差について論じたことを覚えていますか? iEMatch + Ecoモードの“超高感度”からTurboモードに至るまで、iDSDで調節可能なゲイン幅は44dBです。これはつまり、SH IE800とHFM HE-6で同じ再生音量レベルを得るには、ボリュームコントロールを10dB調節すればよいということです。

micro iDSD開発(19)スーパー・デューパー仕様1.9(位相反転)

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月18日の投稿------------


http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-software-design-update-5-three-filters-each-for-pcm-and-dsd-enjoy-it-your-way-page-71/855#post_10643380

信号の極性 +/−(デジタル入力のみ)


背景
時に「位相の反転」と言われることのあるこのテーマについては、意見は様々です。
たとえば、以下をご参照ください。

http://www.absolutepolarity.com/
http://www.positive-feedback.com/Issue1/cjwoodeffect.htm
http://www.polaritylist.com/
http://www.recordingmag.com/resources/resourceDetail/263.html
http://www.6moons.com/industryfeatures/polarity/polarity.html
http://www.herronaudio.com/images/Polarity.pdf

説明
極性を調整すると音に改善を感じる人もいれば、そうでない人もいます。
正しいとか間違っているということではないのです。主観的な好みの問題なのです。
AMRの経験から言えば、この仕様は、北米でいちばん喜ばれます。ヨーロッパやその他の地域ではそれほどではありません。

リスナーにどのような恩恵があるか
レコーディングごとに極性スイッチを試してみてください。

違いが聞き取れれば、それはすばらしいことです。極性スイッチによって、喜びが増すということですから。

違いが聞き取れなくても、心配は無用です。少数派というわけではないのです。極性スイッチをデフォルトの“+”(極性反転なし)にしたままでOKです。

iFiでは、リスナーに最後の数パーセントを選んでいただくようにしています。ですから、このボタンを指でぽんとはじいて、それが気に入るかどうかを確かめてください。気に入っていただけると思いますよ。

2014年6月22日日曜日

micro iDSD開発(18)ソフトウェアデザインノート(4)

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月17日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-naughty-naughty-the-underside-of-the-micro-idsd-page-64/825#post_10641278

DSD – 並のDSDじゃない

普通のDSD再生と、それとは違うと私たちが信じているiFiによるDSD再生があります。


Normal DSD

iFi DSD


私たちは、私たち自身のDSDの実現を心から喜んでいます。現存するもっとも独創的なDSDを実現したもののひとつなのです。その核心には、データ変換がないこと、そしてチップ内部に手が加えられていることがあります。ですから、DSDデータはビットパーフェクトな状態で保存されているのです。DSDデータには、それが出力ステージに送られる前に、アナログフィルターがかけられます。

私たちにとって、“デジタルにする”ということは、信号経路をできる限りオリジナルのまま保つということを意味します。理想的には、DSDが保たれたままのADCが、DSDが保たれたままのDACへと送られるということです(PCMについても、もちろん同様ですが、これについては後ほど述べます)。

nano iDSDとmicro iDSDの場合は、こうなります。

ですから、DSDで録音されたファイルを、これらのiDSDのバーブラウン・チップセットを通して再生する時には、リスナーは全ADC>DACへの経路がDSDフォーマットのままである、つまり“ネイティブである“ことが確保されるのです。こんな感じです:

私たちが使っているDSDチップは、“記録されていない仕様”(そうです、すべてのチップにそういう公表されていない仕様があるのです)の多くにアクセスできるように、すべてがソフトウェアでコントロールされています。では、その“記録されていない仕様”とは何なのか – micro iDSDを正式に発売する時に、それら(世界初の情報も含まれるはずです)をもっと詳しく発表しましょう。

世の中に出回っているDSDの能力を持ったチップのいちばんおいしいところと比べてみましょう。それらの大半は、データ変換とDSDデータの操作を行っています。ですから、それらはもはやビットパーフェクトではないのです。これは設計者の選択で、それは非常に特権的なことなのでしょうが、私たちとしては、そういった変換処理を避けることこそが使命だと考えるのです。

なぜか? ひとつのフォーマットから他のフォーマットへの変換は、損失を伴うからです。だからこそ私たちは、これをできるだけ避けるのがいちばん良いと思うのです。

では、どうしてそれがばれてしまうのか? もしもDSDストリームでデジタルボリュームコントロールを採用しているとしたら、それはDSDデータを非DSDデータに変換している可能性がきわめて高いということです(必ずしもPCMに変換しているということにはなりませんが、どう見積もっても、非DSDである何かに変換しているのです)。


プロのオーディオスタジオでもDAW(デジタルオーディオワークステーション)を使って変換しています
PyramixはDSDを使っているふりさえもしません。彼らのDAWでは、どんな処理も、まずDSD信号がDXD(24Bit/352.8KHz)に変換され、DXDとして処理され、それから再び変換してDSDに戻されるということを意味します。


Sonomaは、DSDワイド(別名PCMナロウ)に変換し、それから24ビットスケーリングファクターを適用し、最後に32PCMで処理して、それから変換してDSD(PCMから再変調された)に戻します。

SonomaであれPyramixであれ、DSDの処理は、DSDをPCMの形に変換するということです。DSDを保持しながら唯一できるのは、“テープ継ぎ”スタイルの編集だけなのです(“テープ継ぎ”というのは、昔の録音テープを、不要な部分をカットして再びつなぎ合わせるという、編集方法です)。

これらの“非常に”高価なDAWによる音楽録音/制作パッケージが、いったんデータをPCMに変換した後でなければ、DSDをフェードしたりボリューム調節したりできないのなら、メインストリームの、もっとずっと安価で便利なDACのチップセットはどうしたら生まれるだろうという論点から目を背けていることになります。

こう考えると、私たちがバーブラウンのチップセットを選び、“そして”これを中心に置いて、なぜ私たちがアナログボリュームコントロール(たしかにこれにも問題はありますが、私たちから見れば、音の点では被害がはるかに少ないのです)を使うのかという出発点に、立ち返ることになるのです。

2014年6月19日木曜日

micro iDSD開発(17)スーパー・デューパー仕様1.8(3.5ミリ・アナログ入力)

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月15日の投稿------------


http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-software-design-notes-4-no-ordinary-dsd-page-56/795#post_10635371


人気の高かったクラウドデザインの仕様です。
お楽しみいただけると思います。

3.5ミリ・アナログ入力

時にはmicro iDSDのヘッドフォンアンプ部分を直接使いたくなることがあるかもしれません。

おそらくは、友人に聴かせてみたり、他のポータブル音楽プレーヤーをちょっと聴いてみたかったりということがあるでしょう。問題ありません。それらはすべて3.5ミリの出力端子を持っているからです。

説明
スマートデバイスの3.5mm > 3.5mm入力が自動的にデジタル回路をバイパスします。

RCA > 3.5mmケーブルもありますから、ハイエンドの音源も使うことができます。

リスナーにどういう恩恵があるか
無比の柔軟性と単純性。友人に貸して、3.5mm出力を試させることもできます。他にも必要なことがあるでしょう。

2014年6月18日水曜日

micro iDSD開発(16)パワーサプライ・セクション・スペシャル(ii)

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月14日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-software-design-notes-4-no-ordinary-dsd-page-56/765#post_10633478


ミーティー・モンスターはパワーに狂っている!(続き)

E. パワーサプライを悲鳴をあげるほどクリーンにしてほしい!
スイッチングコンバーターの動作周波数は、0.64MHzと1.2MHzです。これは、通常のパワーサプライの10〜20倍の速さです。動作周波数が高いということは、キャパシター(コンデンサー)とインダクターが、通常のACパワーサプライで使われているものの5000〜10000倍小さくてすみ、しかも、それ以上とは言わないまでも、同じくらいの効率を持っているということです。

非常にクリーンなDCパワーをDACとオーディオ回路のアナログステージに供給するために、私たちのパワーサプライはこれらのパワーコンバーターを使うのみならず、それらを“黄金時代”のプロ用真空管オーディオ装置(真空管の血が私たちの血管には深く流れているのです)にとてもよく似たLCフィルターリングと組み合わせています。こうして、ノイズを劇的に減少させているのです。

日本のTDKから取り寄せた特注キャパシターが、完璧なキャパシターに非常に近い性能を発揮するように用いられています。日本のタイヨー製のチョークが用いられ、これもまたほぼ完璧な動作をしており、こうしてどんなノイズも最少になるのです。

TDKのキャパシターは、内部抵抗が非常に低いので、フィルターリングされる前のコンバーターの出力ノイズは、ほんの数ミリボルトにしかすぎません。これにLCフィルターリングを加えることによって、このノイズはさらに70dB(3000倍)カットされるので、DCがセパレートPSU(パワーサプライユニット、電源ユニット)を出る頃には、PCBのノイズは数マイクロボルトにまでカットされています。最高のリニアパワーサプライと同じくらい低いということです(つまり、micro iDSDにはリニアパワーサプライは必要ないということです。すでに第一級のパワーサプライを持っているのですから)。このボルテージは、電解キャパシターのバンクに適用されます。これが、信号のピーク時に70ワット/ミリセカンドのエネルギー蓄積を可能にしてくれるのです。

ヘッドフォンの出力バッファは、このパワーサプライからダイレクトに供給されます。一方、アナログステージとDACのスーパーレギュレーターへのパワーサプライは、もうひとつ別のLCフィルターでさらにフィルターリングされます。これによって、パワーコンバーターからのノイズはさらに低くなります。理論的にはさらに70dB(3000倍)低くなり、現実には、どんな試験装置(自社開発したオーディオプレシジョン2も含めて)をもってしても測定値以下を示すのです。

最終的にできあがったのが、これです。



F. デジタルセクションはどうなのか? 最弱のリンクは勘弁して。

DAC自体はどうかと言えば、私たちはスーパーレギュレーターの層をさらに加えました。このスーパーレギュレーターはデュアルモノ構成(左右チャンネルが別々になっている)で、これ自身のノイズは、上流の非常に静かなDCサプライと合わせても、0.5uV程度です。このDACのアナログステージに適用されるのは、この非常に低いノイズだけなのです(0.5uV、1V以下で-126dB、あるいは1Vよりも200万倍低い!)

これらの超低ノイズ・スーパーレギュレーターを用いた結果、DCAチップのメーカーのデータシートと比べると、測定値に2dBの改善が見られました。ですから私たちは、テキサスインスツルメント社が自社の実験室で開発したバーブラウンDACよりも、さらに良い成績を収めたことになるのです! もう一杯飲む良い口実ができました。

こういったすべてのものが、“ミーティー・モンスター”のあらゆる部分にパワーを送るために、1秒あたり10万回も打つ、ほんとうにミーティーなデュルコアの心臓を作り上げているのです。

そういうわけで、もっとも要求の大きなヘッドフォンを相手にしても、このパワーサプライはそれと取っ組み合い、コントロールすることができ、そしてまたそれらのヘッドフォンをただ歌わせるだけでなく、舞い上がらせることができるのです。


micro iDSD開発(15)パワーサプライ・セクション・スペシャル(i)

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月13日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-software-design-notes-4-no-ordinary-dsd-page-56/765#post_10631317


昨日の「スーパー・デューパー1.7:スマートパワー」に引き続き、私たちがついに到達したパワーサプライ(電力供給)の根本的な解決策と、micro iDSDのために開発された様々な副産物に興味を持っていただけるのではないかと思います。


パワーサプライ・セクション・スペシャル(i)

ミーティー・モンスター(肉付きの良い怪物=このプロジェクトのコードネーム)はパワーに狂っている!
パワーサプライは、あらゆるオーディオ機器の核心にあるものです。オーディオ信号に変調された電力を供給するのです。パワーサプライには、いくら注意してもしきれません。“ミーティー・モンスター”という怪獣の胸の中では、2つの心臓が鼓動しています。しかも、非常に、非常に急速に鼓動しているのです。そのパワーは、ポータブルオーディオ機器では最大級のバッテリーのひとつから、引き出されています。


A. 哀れな古くさい標準500mA USBポート…
“どんな”DACにもヘッドアンプ(ポータブルにはこだわらない)にも適合した、もっともパワフルなヘッドフォンアンプのひとつを生み出すためには、micro iDSDにふんだんなパワーが必要です。私たちの18ワット/時リチウムポリマーバッテリーは18ワットを1時間、または1.8ワットを10時間供給することができます。これが、ふんだんなパワーです。

しかし、標準的なUSBポートは500mAに制限されています! この問題は、私たちだけの問題ではありません。チャンネルあたり1ワットを引き出してDAC、クロック、XMOS USBインターフェースに電力を供給するには、500mAではまったく不十分です。

インテリジェント・パワーパス(IPP)
500mAを供給する標準的なUSBポートでは、 micro iDSDを“xxx”モード(これについての解説は、OTW#2までお待ちください)でしか駆動できず、バッテリーに充電するために電流を残すことはできません。

このため、micro iDSDでは、USBで電力を供給する時のために特別な“インテリジェント・パワーパス”バッテリー・チャージャーを開発しました。USB電力で駆動中にさらに電力が余計に必要になったら、USB電力を“バックアップ”するために、バッテリーの電力を使うのです。つまり、電力のピークを支えるために、micro iDSDが不足分をバッテリーにバックアップさせるのです。必要に応じてガソリンエンジンを使うハイブリッドカーにちょっと似た感じですね。

B. このようなばかでかいバッテリーだと、再充電するのにとんでもない時間がかかってしまう!
だからこそ私たちは、充電専用のアタッチメントと、現代の多くのコンピューターに装備されているハイパワーUSBポートを感知する特別な回路を、ひとつにまとめたのです。micro iDSDはこれらのポートを感知して、いわゆるBCP-1.2の基準を利用することができ、オーディオを再生することができ、“しかも”コンピューターから、貧弱な500mAではなく、1500mAを引き出すことができるのです。こうして、通常の使用では、音楽を同時に再生しながらも、バッテリーは5時間程度で充電できるのです。

C. ハイパワー出力にはハイボルテージが必要
パワフルなヘッドフォン出力を引き出すためには、パワフルな、ハイボルテージのパワーサプライが必要です。最高で4.2 V程度に制限されたリチウムイオンバッテリーでは、8個のバッテリーを直列で使う(そのためには莫大なスペースと非常に複雑な充電システムが必要になります)か、あるいは1つのバッテリーボルテージを必要なボルテージにステップアップするために何らかの形でパワー変換をすることが必要になります。

D. 正電圧と負電圧の両方が持てるのか?
妥協のないオーディオパフォーマンスのためには、負電圧と正電圧のダブル供給が必須です。それゆえ私たちは、±4.5V@1,000mAから最高で±13.5V@500mAまで調節可能なシンメトリカルなPSU(パワーサプライユニット、電源ユニット)を創り出すために、パワーコンバーターを使っているのです。

私たちの最初のステップは、理論的に非常に巧妙な設計で、このアナログ式のダブルレールパワーを生み出すことでしたが、実際にはうまくいきませんでした。効率の良い設計に至ることが決してなく、断念せざるを得ませんでした。これは、ひと月ほど前にいちばん大きな問題だったのです。

私たちの次のステップは、2つのコンバーターをつなげて使うことでした。第1コンバーターを、必要な電流の2倍で、調節可能な正電圧にし、次に第2コンバーターを使って、このパワーラインを反転して負電圧を供給できるようにするのです。


この回路だけでも、なかなかの挑戦になりました(実際のところ、大変な挑戦でした)。パワーICは数多く売り出されているのですが、私たちのニーズに合っているものはほとんどなく、その中でも、出力ボルテージをリアルタイムで調節できるものは、さらに少なかったのです! 私たちは、巧妙な設計を許してくれるだけの柔軟性を十分に持ったチップを見つけなければなりませんでした(100種類以上のICを試しました)。こうして私たちは、このコンバーターの出力電圧を、私たちの32ビットARM Cortex CPU(12ビットDACが組み込まれています)から調節することができるのです。

こうして私たちは、出力ボルテージを4.5V〜13.5Vの間で、精密に4000ステップ以上にわたって調節することができます。このチップは、0.64MHzで95%の効率で動作し、PCB(プリント基盤)のごく小さなエリアを占めるだけです。堅固なアース接地面とシールドされたチョークを持っているので、ノイズの放射は非常に低いです。

しかし、これでは正電圧の供給しかできず、負電圧のラインがありません。次のステップは、この正電圧のパワーラインを反転する方法を見つけることです。

ここでもまた、既製品で利用できるようなものはありません。私たちは、また“記録に載っていない仕様”を使って、正電圧レールを精密に反転する、サーボコントロールされたパワーコンバーターを創らなければなりませんでした。正電圧レールを調節することによって、負電圧レールが精密に1-2mV以内になるようにしたのです。



注:サーボコントロールされたパワーコンバーターは、通常は何1000ドルもする機器にしか使用されません。AMRのPH-77などです(12000ユーロ、12000ドル)


   
 パート2に続く

micro iDSD開発(14) ソフトウェア・デザイン・チーム日誌(3)

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月2日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-software-design-notes-4-no-ordinary-dsd-page-56/630#post_10599164

マーク&ゴードンの血と汗の物語は、今回はマイクロプロセッサー編。
気に入っていただけると思いますよ。


マイクロプロセッサー – リアルタイム、ジャック・バウアーのように



私たちは先進の32bit ARMコア・マイクロプロセッサーを使っています(コンピューターのインテル・ペンティアムと同様の性能です)(テキサスインスツルメンツに米ドルで支払います。英ポンドで取り戻せたらいいな)。超高精度のマルチ12bit ADCです。これらは、 micro iDSDの中にあって、リアルタイムで電圧をモニターしています。BMWに組み込まれた電圧センサーのようなものです。ですから、すべての電圧は設計通りぴたりと合っていると確信しています。

この12bit DACに加えて(マイクロプロセッサーがDACを内蔵していてもいなくても、私たちはこのDACをオーディオのデコーディングに使っているわけではありません)、私たちは供給電圧を最適な値に調整することができます(望みさえすれば、0.0008ヴォルトにだって精確に調整できます)。

このことについては、後にOTW(Outta this World この世のものとは思えない)#2で述べることにします。そしてこのインフラがなければ、OTW#3は実現しなかったでしょう。私たちが今週OTW#3を発表するのに先だってこのソフトウェア・メモを本日発表したのは、それが理由なのです。

さらに、この先進のARMコア・マイクロプロセッサーは、電力消費がきわめて少なく、稼働中でも5mA以下、待機中は〜2uAほどなのです。
では何が有利か? micro iDSDがより長く駆動できるということです。これを知って不幸になる人などいませんよね。

これだけでなく、すべてが私たちの“Quiet-Bus(静かなバス)”テクノロジー(私たちがAMRから継承したもうひとつのハイエンド・テクノロジーです)を通じて、厳密に実行されています。ですから、すべてのコミュニケーション・バスはまったく静かなのです(調節が必要な時を除いてですけど)。

自動化されたその他の仕様 – パワーサイクルが不要



これはゴーストバスターズのマークではありません。

超高性能のSPDIF入出力ポート、スペシャル・ヘッドフォン・マッチング仕様、デジタル&アナログ・フィルター、さらにWWW仕様、XXX仕様、YYY仕様、ZZZ仕様(申し訳ありませんが、現段階では発表できません)を含むすべての仕様をリアルタイムで駆動することができるので、電力を上げたり下げたりする(パワーサイクルと言います)必要がありません。

2014年6月16日月曜日

micro iDSD開発(13)この世のものとは思えない#3&スーパー・デューパー仕様1.7

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月12日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-super-duper-1-8-the-3-5mm-input-page-54/735#post_10627797


今日は凶事がダブル。太陽が出ています。ワールドカップ開幕を前にして、私たちはジンジャービールを楽しんでいます。

“Outta this World (OTW)”(この世のものとは思えない)#3&スマートパワー

スーパー・デューパー1.7:スマートパワー

何週間か前に、これをお見せしました。



これを見た人々の答えは、USSニミッツ(米国航空母艦)の近くに落ちた雷でした。

この落雷の絵をイメージしたのが、micro iDSDのSmartPower(スマートパワー)のロゴです。



このスマートパワーは、あなたのスマート機器を常に充電してくれるのです。
micro iDSDはサイドに、iPhone/Samsung/スマート機器専用のUSBポートを装備しています。
ちょうどこんな感じです(micro iDSD + Smartphone):




なぜこんなことが可能になるかと言えば、バッテリーボード上にとんでもない装置を付けているからです。この巧妙な回路によって、iDSDの電源が切れている時に、充電が行われるのです(申し訳ありませんが、ハイレゾを楽しむと同時に充電を行うということはできません)。

パワーサプライセクションの詳細は以下の通りです。

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Powersupply:4,800mAH Lithium Polymer battery and USB (selectable)
電源:4,800mAHリチウムポリマー・バッテリー&USB(選択式)
Battery operating time up to 12 Hours
バッテリー持続時間:12時間以上
USB (Battery Charging Standard Rev. 1.2 [BC1.2] compatible charging system)
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“Outta this World (OTW)”(この世のものとは思えない)#3:ターボパワーモード

SmartPowerとメガバッテリーの話で、この“Outta this World (OTW)”(この世のものとは思えない)#3を手際よく始めましょう。
先週私たちはギャレットのターボチャージャーの写真をお見せしました。



“Outta this World (OTW)”(この世のものとは思えない)#3は、micro iDSDのマックスパワー出力の話です。
----------------------------
4000mW@16Ohm/
8.0V最大(1000mW@64Ohm)
----------------------------

これは、micro iDSDがこの最強のヘッドフォン(そしていくつかのスピーカーさえも)をドライブすることができる数少ないヘッドフォンアンプ(しかもポータブル)のひとつであるということです。



HE-6で、108dBまで出すことができますが、これは耳をつんざくほどの大音量です。ですから、これらの平面振動板が多少とも空気を動かすことになるでしょう。

USBパワーモードでは、これはもちろん明瞭にはわからないでしょう(USBオーディオに加えて、標準的なUSB2ポートの貧弱な500mAではなく、1500mAを潤沢に伝送する、BC1.2に準拠した“DCP = Downstream Charging Port 充電出力ポート”が必要になるので)。しかし、バッテリーモードでHE-6を駆動すれば、6時間ほどは持つはずです。

micro iDSDからHiFi Man のHE-6に電力を供給するには、どのようにセットアップするか?
覚えていますか?



赤いボタンが“ニトロ”オプションです。正式には、ヘッドフォンパワー出力用の“ターボ”モードと名付けられています。



みなさまのクラウドデザインプロジェクトの後にこれらの仕様を開発したのですが、それは実に楽しいことでした。それと同じほど、これを読んだ皆様にも楽しんでいただけたのではないかと思います。

micro iDSD開発(12)スーパー・デューパー仕様1.6(ヘッドフォン用3Dホログラフィックの背景)

micro iDSD開発(12)スーパー・デューパー仕様1.6(ヘッドフォン用3Dホログラフィックの背景)


この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月11日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-super-duper-1-8-the-3-5mm-input-page-54/720#post_10625021



ヘッドフォン用(i)/スピーカー用(ii)3Dホログラフィック


セクションi:ヘッドフォン用3Dホログラフィックの背景

録音というのは、多かれ少なかれスピーカーを想定して行われます。定義としては、ヘッドフォンで聴いている時は、“カイリー感覚”(カイリー・ミノグの歌「Can’t Get You Out of My Head(あなたを頭から追い出せない)」のように、頭から音が外に出ていかない状態を感じているということ)を得ているのです。



丁寧に言えば、これは人間の脳をうんざりさせます。“正常”ではないからです。



説明

人間の聴覚は左右の“ミックス”を必要とします。左は左だけ、右は右だけ、というわけではないのです。これを解決するには、デジタル信号処理(DSP=Digital Signal Processing)を使うJRMCなど、数多くの方法があります。

2つの欠点があります。
1. 信号がビットパーフェクトでなくなる。
2. 単純にクロスフィードしても、人間の聴覚に欠けているものをすべて伝えることにはならない。

ヘッドフォン用の3Dはリスナーにどのように恩恵を与えるのか

解決策:iFiの解決策は、しばらくの間はヘッドフォン用3Dホログラフィックでした。

これはアナログ信号処理です。これがオーディオ信号の完全な状態を保持し、サウンドを頭の中から外へ出し、前へと進む空間感を与えるのです。この写真のイメージに近い感じです。



詳細はこちらを読んでください。
http://ifi-audio.com/wp-content/uploads/data/3DHolographic.pdf

セクションii:スピーカー用3Dホログラフィックの背景

録音は、通常は“フリースペース”で実行されます。ここに小さな問題があります。なぜなら、私たちは聴く時に、頭の両側の耳で聴くからです(気の利いた冗談を言っているのではありません)。高域と中域がちゃんとよく聞こえる時には、低域はあまり聞こえません。頭によってブロックされるからです。これは、“アコースティック・シャドウ(聴覚の影)”と呼ばれています。

“ステレオの父”と呼ばれるアラン・ブルムラインは、オーディオ界では名前を聞いたことのある人がほとんどいないような人物ですが、プロオーディオ界では崇敬されています。アラン・ブルムラインは短命でしたが、その人生は様々な出来事に満ち溢れていました。1942年、第二次世界大戦中に、ウェリントンの爆撃機墜落で、38歳で早すぎる死を迎えたため、(とりわけ)録音とレイダーに関する彼の数多くの仕事は、真の意味でそれにふさわしい認識を得ることはありませんでした。彼の死は、(戦時の)政府によって隠されていたからです。

この本は魅力的です。



(それほど専門的ではなく、全体に興味深い逸話が紹介されています)

脇道へそれましたね。AMR/ iFiは、これを初めて指摘したわけではありません。過去にも様々な解決策があったのです。

説明

“ステレオサウンドの知覚”という難しい問題は、録音分野では数多くの資料が残されています。以下に挙げるのは、いくつかのよく知られた例ですが、これらのアプローチは基本的には限られたものでした。これらのコンポーネントを用いて実行された録音の数が少ないからです。

1. フォークナー・マイクロフォン・アレイ[1]: トニー・フォークナー[2]は、もっともよく知られたイギリスの録音エンジニアのひとりで、アラン・ブルムラインの仕事を利用してこの録音解決策を開発しました。
資料源:www.evi.com

2.  バイノーラル録音[3]:人間の頭は物理的に頭の両側に位置する両耳で“聴きます”。ノイマン社のK-100マイクロフォンは、商業用のダミーヘッドマイクロフォン用に開発され、プロ用のバイノーラル録音のためにこれを疑似再現します。このアプローチは、ヘッドフォンによる再生を正面に見据えています(訳注/人形の両耳にマイクを装着して録音することによって、実際に人間の耳に聞こえている通りに録音しようという考え方。これをヘッドフォンで再生すれば、録音時と同じ状態で音を聴くことができると考えている)。
資料源:http://www.kallbinauralaudio.com

3. イェックリン・ディスク[4]:スイスの録音エンジニアで、スイス放送のチーフだったイュルク・イェックリン(現在はウィーン音楽演劇大学で教えています)によって考案された方法です。彼の技術書類[5]に記載されている解決策は、アラン・ブルムラインが1931年の特許で初めて述べているバッフル・マイクロフォン・テクニックをもとにしたものです。このデザインをもとに近年になって洗練させたものが、シュナイダー・ディスク[6]です。
資料源:http://www.indecentmusic.com/img/blog/drum-mics/overheads-jecklin-ew.jpg
________________________________________
[1] http//www.sengpielaudio.com/TonyFaulknerPhasedArray01Engl.pdf
[2] http://www.analogplanet.com/content/veteran-recording-engineer-tony-faulkner-goes-back-analog-0
[3] http://en.wikipedia.org/wiki/Binaural_recording
[4] http://en.wikipedia.org/wiki/Jecklin_Disk
[5] http://www.mdw.ac.at/I101/iea/tm/scripts/jecklin/tt03mikrofon.pdf
[6] http://www.core-sound.com/jecklin/1.php

他にも、EMIシャフラー[7]のように、数多くの方法があります。
[7] http://www.phaedrus-audio.com/stereosonic.pdf

スピーカー用の3Dはリスナーにどのように恩恵を与えるのか

micro iDSDのスピーカー用の3Dホログラフィックサウンドシステムは(iTubeでも使われているように)、この基本的な問題を最終的に解決するので、“箱の外にいる“感覚が得られるという解決策をもたらしてくれます。すべての録音の再生時に使うことができます。

きちんと作られたハイファイスピーカーは、通常は高域を精確な音で伝達するので、楽器の位置関係を容易に“知覚する”ことができます。低域はそれほど明瞭には定義できないので、位置関係の認識が高域楽器ほど良好にはできません。




3Dホログラフィックサウドのセッティングは、低音楽器を本来あるべき場所に戻し、残りの楽器はそのままの状態に保ちます。こんな感じです:




詳細はこちらを読んでください。
http://ifi-audio.com/wp-content/uploads/data/iTubeTechpaper2_3DHolographic.pdf

micro iDSDでは、これらをまったく別々の回路で実現しています。

i.ヘッドフォン用の3Dホログラフィックサウンドを聴くには、6.3ミリジャックにつないでください。
ii.スピーカー用の3Dホログラフィックサウンドを聴くには、RCA出力につないでください。


Thanks. ありがとうございました。

micro iDSD開発(11)スーパー・デューパー仕様1.5(ダイレクト/プリアンプ・アウト)

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月10日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-super-duper-1-8-the-3-5mm-input-page-54/720#post_10623177

ダイレクト/プリアンプ・アウト

Micro iDSDでは、

Direct(ダイレクト=バイパス)
または
Pre-Amp output(プリアンプ・アウトプット)(アナログ・ボリューム・コントロールを使う)

を選択することができます。



これは理解が簡単で、その良さも簡単にわかります。
しかし私たちは、その背後にあるものに少しばかり光を与えたいと思います。

ALPS製マイクロスイッチ – 日本から直に取り寄せ
iFiのすべての製品には、様々なセッティングと調節のためにマイクロスイッチが使われています。




それらは高品質で頑丈ですが、世界でいちばん使いやすいものとは言えません。私たちは常に状況を改善しようと考えています。このような小さなスイッチでもそうなのです。

Micro iDSDでは、フィルタースイッチ、パワーモード(ちょっと過激なことをやっています)、ダイレクト/プリアンプ、さらにもうひとつの選択タイプなどのために、より使いやすいマイクロスイッチに移行しました。新スイッチは、非常に、非常によくできていて、日本のALPS社から直接取り寄せています。ALPSを選んだ理由はシンプルです。アメリカ、日本、マレーシア、台湾、中国の様々メーカーの30以上のスイッチをテストした結果、ALPSのものがトップになったということです。



これらの新スイッチは、接触部分が銀メッキの銅製で、接触抵抗は0.07オーム以下です。

これらのALPS製のスイッチを使うために、私たちは小さなトグルスイッチ(幅がせいぜい1ミリ程度以下)にキャップを付け加えなければなりません。そうしないと、使えないのです。このキャップのために、私たちはABS樹脂噴射ツールの型を特注しなければなりませんでした。そしてそれから、使いやすさをさらに向上させるために、私たちはキャップひとつひとつをゴムでコーティングしました。



iFiスペックに適合するように作られたボリュームポット(つまみ)
ボリュームポット(ポテンショメーター)はいちばん見逃されることの多いコンポーネントのひとつですが、オーディオの信号経路に関していえば、これが“最弱のリンク”になる可能性があるのです。

多くの設計では、現在入手可能な最新の、もっとも高価なDACが使われていますが、よく観察してみると、その回路には一般的なボリュームポットが備え付けらており、きわめてよくあることですが、デジタル・ボリューム・コントロールになっているものが多いのです。

理論的には、デジタル・ボリューム・コントロールはとてもよくできているように見えるのですが、実際には、ボリューム・コントロールが常に100%機能していなと、音楽ファイルは不完全な形で再生されることになってしまいます。

より良いボリューム・コントロール設計は、評判の高いALPS製のポットを使っています。それでも私たちにとっては、ALPS製のポットは供給量が十分ではありません。そこで私たちは、専用のカスタムポットの製造を依頼しました(iFiシリーズ全体で使うことになります)。

以下は、一般に使われているポットの単純比較表です。



そうなんです。シンプルなセレクタースイッチでも、通常のボリューム・コントロールでも、その背後には複雑な物語が隠されているのです。