2014年6月16日月曜日

micro iDSD開発(12)スーパー・デューパー仕様1.6(ヘッドフォン用3Dホログラフィックの背景)

micro iDSD開発(12)スーパー・デューパー仕様1.6(ヘッドフォン用3Dホログラフィックの背景)


この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月11日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-super-duper-1-8-the-3-5mm-input-page-54/720#post_10625021



ヘッドフォン用(i)/スピーカー用(ii)3Dホログラフィック


セクションi:ヘッドフォン用3Dホログラフィックの背景

録音というのは、多かれ少なかれスピーカーを想定して行われます。定義としては、ヘッドフォンで聴いている時は、“カイリー感覚”(カイリー・ミノグの歌「Can’t Get You Out of My Head(あなたを頭から追い出せない)」のように、頭から音が外に出ていかない状態を感じているということ)を得ているのです。



丁寧に言えば、これは人間の脳をうんざりさせます。“正常”ではないからです。



説明

人間の聴覚は左右の“ミックス”を必要とします。左は左だけ、右は右だけ、というわけではないのです。これを解決するには、デジタル信号処理(DSP=Digital Signal Processing)を使うJRMCなど、数多くの方法があります。

2つの欠点があります。
1. 信号がビットパーフェクトでなくなる。
2. 単純にクロスフィードしても、人間の聴覚に欠けているものをすべて伝えることにはならない。

ヘッドフォン用の3Dはリスナーにどのように恩恵を与えるのか

解決策:iFiの解決策は、しばらくの間はヘッドフォン用3Dホログラフィックでした。

これはアナログ信号処理です。これがオーディオ信号の完全な状態を保持し、サウンドを頭の中から外へ出し、前へと進む空間感を与えるのです。この写真のイメージに近い感じです。



詳細はこちらを読んでください。
http://ifi-audio.com/wp-content/uploads/data/3DHolographic.pdf

セクションii:スピーカー用3Dホログラフィックの背景

録音は、通常は“フリースペース”で実行されます。ここに小さな問題があります。なぜなら、私たちは聴く時に、頭の両側の耳で聴くからです(気の利いた冗談を言っているのではありません)。高域と中域がちゃんとよく聞こえる時には、低域はあまり聞こえません。頭によってブロックされるからです。これは、“アコースティック・シャドウ(聴覚の影)”と呼ばれています。

“ステレオの父”と呼ばれるアラン・ブルムラインは、オーディオ界では名前を聞いたことのある人がほとんどいないような人物ですが、プロオーディオ界では崇敬されています。アラン・ブルムラインは短命でしたが、その人生は様々な出来事に満ち溢れていました。1942年、第二次世界大戦中に、ウェリントンの爆撃機墜落で、38歳で早すぎる死を迎えたため、(とりわけ)録音とレイダーに関する彼の数多くの仕事は、真の意味でそれにふさわしい認識を得ることはありませんでした。彼の死は、(戦時の)政府によって隠されていたからです。

この本は魅力的です。



(それほど専門的ではなく、全体に興味深い逸話が紹介されています)

脇道へそれましたね。AMR/ iFiは、これを初めて指摘したわけではありません。過去にも様々な解決策があったのです。

説明

“ステレオサウンドの知覚”という難しい問題は、録音分野では数多くの資料が残されています。以下に挙げるのは、いくつかのよく知られた例ですが、これらのアプローチは基本的には限られたものでした。これらのコンポーネントを用いて実行された録音の数が少ないからです。

1. フォークナー・マイクロフォン・アレイ[1]: トニー・フォークナー[2]は、もっともよく知られたイギリスの録音エンジニアのひとりで、アラン・ブルムラインの仕事を利用してこの録音解決策を開発しました。
資料源:www.evi.com

2.  バイノーラル録音[3]:人間の頭は物理的に頭の両側に位置する両耳で“聴きます”。ノイマン社のK-100マイクロフォンは、商業用のダミーヘッドマイクロフォン用に開発され、プロ用のバイノーラル録音のためにこれを疑似再現します。このアプローチは、ヘッドフォンによる再生を正面に見据えています(訳注/人形の両耳にマイクを装着して録音することによって、実際に人間の耳に聞こえている通りに録音しようという考え方。これをヘッドフォンで再生すれば、録音時と同じ状態で音を聴くことができると考えている)。
資料源:http://www.kallbinauralaudio.com

3. イェックリン・ディスク[4]:スイスの録音エンジニアで、スイス放送のチーフだったイュルク・イェックリン(現在はウィーン音楽演劇大学で教えています)によって考案された方法です。彼の技術書類[5]に記載されている解決策は、アラン・ブルムラインが1931年の特許で初めて述べているバッフル・マイクロフォン・テクニックをもとにしたものです。このデザインをもとに近年になって洗練させたものが、シュナイダー・ディスク[6]です。
資料源:http://www.indecentmusic.com/img/blog/drum-mics/overheads-jecklin-ew.jpg
________________________________________
[1] http//www.sengpielaudio.com/TonyFaulknerPhasedArray01Engl.pdf
[2] http://www.analogplanet.com/content/veteran-recording-engineer-tony-faulkner-goes-back-analog-0
[3] http://en.wikipedia.org/wiki/Binaural_recording
[4] http://en.wikipedia.org/wiki/Jecklin_Disk
[5] http://www.mdw.ac.at/I101/iea/tm/scripts/jecklin/tt03mikrofon.pdf
[6] http://www.core-sound.com/jecklin/1.php

他にも、EMIシャフラー[7]のように、数多くの方法があります。
[7] http://www.phaedrus-audio.com/stereosonic.pdf

スピーカー用の3Dはリスナーにどのように恩恵を与えるのか

micro iDSDのスピーカー用の3Dホログラフィックサウンドシステムは(iTubeでも使われているように)、この基本的な問題を最終的に解決するので、“箱の外にいる“感覚が得られるという解決策をもたらしてくれます。すべての録音の再生時に使うことができます。

きちんと作られたハイファイスピーカーは、通常は高域を精確な音で伝達するので、楽器の位置関係を容易に“知覚する”ことができます。低域はそれほど明瞭には定義できないので、位置関係の認識が高域楽器ほど良好にはできません。




3Dホログラフィックサウドのセッティングは、低音楽器を本来あるべき場所に戻し、残りの楽器はそのままの状態に保ちます。こんな感じです:




詳細はこちらを読んでください。
http://ifi-audio.com/wp-content/uploads/data/iTubeTechpaper2_3DHolographic.pdf

micro iDSDでは、これらをまったく別々の回路で実現しています。

i.ヘッドフォン用の3Dホログラフィックサウンドを聴くには、6.3ミリジャックにつないでください。
ii.スピーカー用の3Dホログラフィックサウンドを聴くには、RCA出力につないでください。


Thanks. ありがとうございました。

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