2014年6月15日日曜日

micro iDSD開発(10)テクニカル・ノート:DACチップセット

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月8日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-the-meaty-monster-is-power-mad-part-i-and-ii-page-52/690#post_10617050


今日は日曜日。うたたねでもしようと思っているのなら、これを読んでみたらどうかな。

チップセットの厳選:極限まで行くぞ
DACのために理想的なチップセットを選ぶのは、どんなオーディオメーカーにとっても簡単な仕事ではありません。

私たちは2つの選択に直面しました。

選択1:よく知られたチップセットを選ぶ。音の点で非常に良く、より新しく、客を強く意識している。

選択2:きわめて満足度の高い音と思われるチップセットを選ぶが、あまり知られていないのでリスクがある(おそらくより高価で、現行製品である可能性が高い)。

iFiとしては、AMR時代以来、「選択2」を選んできましたし、今後もそれを続けるでしょう。これは多少保守的な習慣に逆行することになり、危険度も増すのですが、結果としての音を聴けば、その価値があると心から信じています。

2000年にフラッグシップのCD-77(価格はUS$11400)の開発を始めた時に、私たちは伝説的なフィリップスのTDA1541AというDACチップセットから、通常よりさらに30%以上のソニックパフォーマンスを引き出そうとして、数段階の措置を講じました。私たちは正式には記録されていない特徴を市場に持ち込み、それは当時も現在も最高のソニックパフォーマンスとなっているのです。

下の図を見れば、私たちがやったことが多少おわかりいただけるでしょう。

1. Audiophile Level  オーディオファイルレベル

2. Datasheet Implementation Level データシート実施レベル

3. Advanced Level 高度なレベル

4. AMR/iFi Level    AMR/iFiのレベル


TDA1541Aは世界中で用いられており、私たちの意見では、十分な理由でそれは正当化できます。このチップセットを使っているのは、私たちだけではありませんでしたが、私たちはこのチップセットから最大限のものを引き出すために、シリコンの型のレベルまで調査しました。CD-77はこの驚異的なチップセットを搭載しているのみならず、わずかながら“X要因”が組み込まれているのだと、お客様に保証できます。それは、スーパーカーを入手して、ECU(エンジンコントロールユニット)をリマッピングして、ドライブトレーンを上げるようなものなのです。

同様に、これから発売されるmicro iDSD用に私たちが選んだDACは、定評あるDSDチップであるDSD1700の直系のものなのです(PCM界で、とりわけ日本で、フィリップスTDA1541Aが伝説的だったのと同じです)。

私たちがmicro iDSDのために(そしてまたnanoシリーズ及び他のシリーズのiDSDのために)選んだプラットフォームは、バーブラウン製のものでした。なぜか? それは、DSDとPCMを、内部変換を行うことなく扱うことのできる、数少ないチップセットのひとつだからです。これによって、すべては変更されることなく保たれ、音楽ファイルがDSDであろうとPCMであろうと、全体はオリジナルに近い状態のままであることができるのです。

micro iDSDでは、これを実現するために多大な努力をしています。DSDとPCMの両方を扱うことのできる、すぐにも入手可能なDACチップを見つけるのは、なかなかのチャンレンジでした。メーカーは、チップセットの中で何が行われているかについては、一般に言いたがらないものです。ですから、実際に内部がどうなっているのかを知るには、詳細にテストしなければならないことが多いのです。

私たちがnano iDSDで用いているDACチップは、通常とはかなり違う処理をしています。PCMオーディオの上部の6ビットには6ビット・マルチビットDACを用い、バーブラウンのマルチビットDACの有名な特徴である暖かさとピシッと引き締まった音を聴かせてくれます。これより下のビットは、256スピードのデルタシグマ・モジュレーター(事実上DSD256)で変換し、PCMの再生に、デルタシグマのDACとDSDの有名な特徴であるなめらかさを与えています。

バーブラウンのトゥルー・ネイティブDSD/PCMチップセット – PCMとDSDをネイティブで扱う


DSDを再生する時にも、同じデルタシグマのモジュレーターが使用され、DSDビットストリームをダイレクトにアナログに変換します。もちろん、DSDにはデジタルフィルターもデジタルボリュームコントロールも使えないので、これらの機能はもともとあるアナログ領域に追加しなければなりません。

結論
ですから、DSDで制作されたレコーディングがあれば、micro iDSDではそれをネイティブで聴くことができるのです。

ですから、PCMで制作されたレコーディングがあれば、micro iDSDではそれをネイティブで聴くことができるのです。

「パート4:DSDとPCMの詳細」に続く

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