2013年8月20日火曜日

iPhonoで聴くアナログディスク(1) 井上陽水:9.5カラット



井上陽水:9.5カラット
有名すぎるレコードですね。
SHM-CD
Wikiによれば累計売上は155万枚・・・まあなかなか最近の音楽不況な世の中じゃお目にかかれない数字で、陽水としても「氷の世界」以来、2番めのミリオンヒットだったそうな。CDは何度か再発されているみたいですが、LPが出たのは84年の初回発売時のみ。実はこのLP、つい最近中野の某中古レコード店のバーゲン棚で入手しました(笑)。他と合わせて3枚で500円という破格っぷり。それもそのはずで歌詞カードが紛失してるんでバーゲン棚に投げ込まれたようですが、盤はまったくもってミントそのもの。
このアルバムは安全地帯の「ワインレッドの心」とか水谷豊の「ハーバーライト」、石川セリの「ダンスはうまく踊れない」など陽水が作曲を手がけた作品のセルフカバー集ですね。編曲は長年のコンビ星勝だけれど、中森明菜に提供した「飾りじゃないのよ涙は」だけ編曲者が久石譲だったってことに今頃気がつきました(陽水が歌ったこのバージョンが、ってことね)。
サウンド面からもアナログ盤最後期の、あらゆる意味で完成度の高いLPであることは間違いありません。上記の事情でスタッフクレジットも確認できませんが、カーブがRIAAであることはジャケットウラに明記されています。iPhonoをノーマルRIAAにセットして再生してみて、あらゆる面でこれが現行SHM-CDの音を凌駕していることに誰も異存はない・・・というくらい。


ごく最近の新制作LPはカッティングマスターをすべてデジタル素材にしてますが、これは音からしておそらくマスターからプレスマスターまでアナログで首尾一貫しているんでしょう。とにかく出音に深みがあってすばらしいのはマスタリングだけでなくカッティングも最高レベルの人と機材を投入していることが明らかです。ラッカー、マザー、スタンバー、とプレスに入るまでにいくつもの工程を経なければいけないアナログLPが、ほとんど伝統的な職人芸に支えられていたことが刻まれています。
最近の新制作LPはけっこうプレスミスが多発しているようです。このあたりに失われた伝統技術の再現の難しさを感じます。
日本刀の業物は鎌倉時代で頂点に達して、あとの時代にはどんな名工も完成度の面で歯が立たなかったそうですが、見事なLPのプレス技術ももう中古LP漁りでしかお目にかかれない? だとしたら寂しい限り・・・。







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