2014年6月14日土曜日

micro iDSD開発(9)スーパー・デューパー仕様1.4 (フェムトクロック)

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月5日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-the-meaty-monster-is-power-mad-page-52/645#post_10606215

フェムトクロック – 
フェーズノイズにうるさくこだわるクロック

背景
フェムトクロックは、どれも良くできています。実際とてもよくできているのです。これらのクロックは水晶クロックよりも低いジッターレベルを示します。それがより良い音を生み出すのです。その精確さを示すためによく引用されるベンチマークが、フェムト秒(Fs)(100万分の○○秒)です。

2008年、まだ「フェムトクロック」という言葉が広く使われるようになる前に、AMRは“グローバル・マスター・タイミング”(GMT)と“ジッターレス”テクノロジーの一環として、DP-777用に特別なクロックを開発しました(なぜ“特別か?”というと、それは以下を見ていただければわかります。フェムトクロックと一口に言っても、すべてが同じではないのです)。

私たちはこれをGMTクロック・プラットフォームと呼びました(このプラットフォームは、特別に開発されたハードウェアとソフトウェアで構成されています)。“缶入りのクロック”を買ったらそれで仕事はおしまい、というわけではないからです。

ディスクリート、ルビジウム、スーパークロック、そしてとりわけいくつかのフェムトクロックなど、あらゆる種類のクロックを長年にわたって使ってみた結果、私たちはそれらがすっかりよくわかるようになりました。

すべてのフェムトクロックは、優れた低フェーズノイズ(クロック内部で観測されるジッター)を示します。しかしながら、その起源はSONET(http://en.wikipedia.org/wiki/Synchronous_optical_networking)の一部にあったので、広く知られるSONETを対象にした“フェムトクロック“は、それほど望ましいものではないのです。というのも、そのフェーズノイズのベストパフォーマンスは、12kHz以上の帯域に集約されているからです(つまり、可聴帯域の最上部とそれを超えた部分なので、オーディオにはあまり恩恵がないということです。

 一例として、このリンクを見てください。遠距離通信分野でのフェムトクロック・テクノロジー(遠距離通信用のスペックになっています)の実際の使用に光を当てています。

http://www.thinksmallcell.com/System/clock-frequency-accuracy-within-femtocells-for-timing-and-location.html


広く使われているフェムト(SONET)クロック


これは光通信システム(別名SONET – これはサブセットです)です。-70dBの帯域を目立たせるために青い線を加えています。次のセクションのmicro iDSDのAP2チャートを参照すると、“同種のもの”の比較であることが一層わかります。

50kHzの箇所のスパイク状の突出部分は、“信号”です。見ればわかるように、この周辺の何キロヘルツにもわたって、フェーズノイズが低いのがわかります。このアプリケーション(SONET)では、これが重要なのです。

しかしながら、人間の可聴帯域である20Hz〜20kHzにとってもっとも重要なのは、緑色の矢印の部分です。そこでは、フェーズノイズのパフォーマンスが、-100dB〜-70dBの間では、それほど際だってはいません。

説明
したがって、AMRにとっての鍵は、新システムの“GMT”クロック・プラットフォームを設計することだったのです。それは、重要な可聴帯域において最低のフェーズノイズを示すのみならず、文字通り何100万もの周波数(それについては、DP-777の技術資料に書いてあります)に調節できる精確さをも、もたらしてくれるのです。

micro iDSDに組み込まれるように設計された GMTクロックシステムは、280フェムト秒以下の数値であり、多くのフェムトクロック(ジッターを低減するように設計されているのですから)に比肩できます。

以下のmicro iDSDのAP2グラフを見ると、9kHzから15kHz間のジッターが非常に良好であることがわかります。 micro iDSDのノイズフロアは、ずっと-150dBまで下がっています。これは実質的には突出することなく、一律です。

AMR/iFi GMT Clock Platform

ユーザーにとってどういう恩恵があるのか
全体に一貫した、一律の、無視できるレベルのジッターは、優れたタイミング(計時)を意味します。適正な量のアタックと減衰、そしてもちろん精確な音を実現してくれるということです。もっとも重要な可聴帯域においてmicro iDSDのジッターがきわめて低いという結果を、私たちは心から喜んでいます。実のところ、もっとかなり高額なDACと比べてみていただいても、私たちは気になりません。

これはなかなか興味深いことではないでしょうか。micro iDSD(実際、私たちはこれをDP-777から取ってきたのですから)において、私たちがパーツのパフォーマンスに注いできた特別な注意、そしてカスタムデザインに、多少の光があたることになるのですから。

付録:ルビジウムクロックはどうなのか?
下に示したのは、いくつかのタイプのルビジウムクロックのチャートです。それらすべてが示しているのは、フェーズノイズの数多くの鋭いスパイク(突出)です。たとえ測定値は良くても(中には-150dBというのもあります)、突出すると、ノイズレベルが-70dB〜-90dBまで跳ね上がります。
これは理想からはほど遠い状態です。私たちが、iFi製品でもAMR製品でもこれらのクロックを使っていないのは、それが理由です。結局突き詰めれば、使用される特定のクロックと、可聴帯域でのそのパフォーマンスに、細かな注意を払うしかないのです。




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