2015年4月30日木曜日

ヘッドフォン祭でMEETS DSD256!最新音源を17日に初公開

着々と充実しつつあるDSD256(11.2MHz)の音源を、現在唯一のDSD256収録プロフェッショナルマシンであるPyramixシステムからのマスター再生、およびmicro iDSDを核としたiFIオーディオ製品で送り出し、TADの豪華なシステムで再生する豪華な試聴会。ヘッドフォン祭ならではの豪華ゲストを迎えての特別イベントです。
ヘッドフォン祭2日め(17日)、中野サンプラザ8F研修室12で開催します。

●日時:2015年5月17日(日)12:00~16:00
●会場:春のヘッドフォン祭2015 中野サンプラザ8F 研修室12
●入場:フリー/入れ替えなし ※椅子席30席/立ち見10名程度となりますので、満席で入場できない可能性もございます。あしからずご了承ください。


●第一部 12:00-12:45
iFI-Audio ✕ Net Audio ✕ Get NAVI
テクノボーイズDSD256の軌跡
トークゲスト:野村ケンジ、テクノボーイズ・パルクラフト・グリーンファンド(石川智久、フジムラトヲル、松井洋平)
概要:Net Audioでスタートした世界初のDSD256雑誌付録音源からGet NAVIの付録音源「ウィッチ☆アクティビティEDテーマ」まで約一年の軌跡を振り返る

●第二部 13:00-13:45
iFI-Audio ✕ OTOTOY
Polaris@赤坂BLITZ行われた世界初のDSD11.2MHzのダイレクトミキシング音源先行試聴!初公開
トークゲスト:奥田泰次(studio MSR)
Polaris DSD256ライヴ 先行試聴
概要:4月15日(水)に赤坂BLITZにて行われたPolarisのライヴを、エンジニア奥田泰次が、Solid State LogicのSSL AWS948とDSD11.2MHzでデジタル・オーディオ・ワークステーション「Pyramix」(ピラミックス)を使用して録音。本イベントでは、赤坂BLITZの楽屋に設置されたミキシング・スタジオやその録音時の写真を見ながら、録音の模様を奥田泰次と共に解説し、その音源を初披露する。

●第三部 14:00-14:45
iFI-Audio ✕ OTOTOY ✕ Net Audio
岩崎愛@HikarieでPyramixにて録音されたDSD11.2MHz音源試聴&ミニライブ
トークゲスト:岩崎愛、高橋健太郎
スペシャル生ライヴ:岩崎愛
概要:"浪速のノラ・ジョーンズ"の異名をとる女性シンガーの岩崎愛が、12月14日(日)、OTOTOY DSD SHOP 2014の会期中に、会場HikarieにてDSD11.2MHzでデジタル・オーディオ・ワークステーション「Pyramix」(ピラミックス)を使用して録音した音源のDSD11.2MHz試聴会を行う。また岩崎愛とエンジニアの高橋健太郎と共に、その録音時を振り返りながらのトークセッションや、岩崎愛のスペシャル・ライヴも予定。

●第四部 15:00-15:45
iFI-Audio ✕ FIX Records ✕ Net Audio
SONY乃木坂スタジオで録りおろし!Suara初のDSD256音源初公開
トークゲスト:Suara、岩井喬
Net Audio誌7月発売号付録DSD256音源の先行試聴
概要:名作「キミガタメ」「君のかわり」Net Audio誌付録音源先行試聴。Suaraさんご本人を迎えてのトークイベントあり

2015年4月18日土曜日

iFI Retro 発売遅延のお知らせとお詫び

FI-AudioのRetro System(Retro STEREO 50、Retro
LS3.5、及びフルセットシステム)について、4月下旬」の発売予告を出しておりましたが、iFI本社オフィスより「Retroの梱包パッケージを再設計し、輸送上より安全なものに取り替えた上で日本向け輸出を開始する」旨の連絡が入りました。
すでにiFI-Audioの日本語ブランドサイトでもお知らせしておりましたが、2月下旬よりヨーロッパから発売を開始したRetroですが、梱包の不具合による破損事故の事例が若干ながら報告されており、日本での流通には万全を期す、との決定により今回の措置となりました。

したがって、iFI Retroの日本での正式な発売は6月下旬に変更になりました。
ご予約いただきました多数のお客様に多大なご迷惑をお掛けすることをお詫びいたします。
iFI-Audio JP

2015年4月13日月曜日

iFI Retro - Power is everything パワーこそすべて

しかし、最終的に真空管アンプを首尾良く作り出すのも、ぶちこわしてしまうのも、出力トランスなのです。そして私たちが使っているものは、黄金時代の、そしてまた現代の、どんなものよりも優れています。コンフィギュレーションにおいてストレートライン(トーンコントロールがバイパスされる)で使った場合、信号回路でそれより先にある唯一の素子は、モーター駆動される16ミリのAlps製ブラック・ボリューム・コントロールだけです。それだけなのです!



トーンコントロールを使う場合は、パッシヴ型のJamesタイプのネットワークを最適化したものを、ボリュームコントロールの前の回路やプリアンプ回路(これはmicro iCANに見られるA級チューブ・ステート回路に由来しています)に挿入します。ここでもまた、信号にとって重要なすべてのパーツに、MELF抵抗(MELF形炭素皮膜固定抵抗器)とC0G(積層セラミックコンデンサ)が使われています。

それでも、古くから言われていることがあります:「どんなアンプも、電源次第である」。ここが、私たちが決定的に伝統を断ち切っている点です。私たちは「レゾナント・パワー・コンバーター」と呼ばれるものを使っています。これは、評判の悪いことが多い(確かにそのとおりであることも多いのですが)スイッチ・モード・パワー・サプライ(SMPS)に、動作の点ではちょっと似ていますが、典型的なSMPSの激しいスイッチングや電流量の多いスイッチングは避けています。これによって、SMPSの音の問題の多くを避けることができるのです。

このパワー・コンバーターは非常に高周波で動作します。一般のACサプライよりもずっと高速で、レギュレーションも施されています。つまり、商用電源の電圧がどうであれ(85ボルトより下から265ボルトより上に至るまで)、公称電圧はきわめて安定しているのです。一般の真空管パワーサプライは、パワーを引き出すにつれて「たるむ」傾向にあり、これが真空管アンプの「ぼやけた低音」の原因だと言われることがよくあります。電源がレギュレーションされていれば、電源は、信号がないところから最高出力に至るまで安定し、その結果強固で引き締まった低音が確保できるのです。

これにはさらなる利点があります。私たちはヒーターと高圧電流のために信頼性の高いレギュレーションされた電圧を確保できるので、商用電源の電圧の変化に対処するための余剰な電圧を残しておく必要がありません。その代わりに、私たちは一般よりも大きなパワーを生み出す最大限のスペックの設計を行うことができます。出力のパワーが増したことで電源の電圧に降下がないので、同じ出力真空管を使ったクラシックな設計の場合よりも、アンプからもっと大きなパワーを生み出すことができるのです。

そしてもちろん、レギュレーションされた電源は、ノイズが非常に低くなっています。Retro Stereo 50はSN比が2.83ボルト出力時に95dB(A)以上になっています。

Source: AMR/iFi measured on AP2

これは、多くのクラシックな設計のアンプの70dB(A)程度のSN比に匹敵します。そして今日でさえ多くの伝統的な設計の真空管アンプは80dB(A)以上のSN比を確保しようと苦闘しているのです。



注:上記2つのグラフは、X軸とY軸がまったく同じですから、並べて適切に比較することができます。

さらに重要なのは、Retro Stereo 50のノイズは、すべて真空管ノイズ(「チューブ・ラッシュ」とよく呼ばれます)であり、商用電源の周波数のせいだとされることのあるハム成分が存在しません。実際の場面でこれが意味するのは、たとえばもしも90dB/W/mのスピーカー(たとえばRetroのシステムに組み合わされるLS3.5)がRetro Stereo 50に接続された場合、1メートルの距離でのどんなノイズも、可聴限界よりも5dBほど低いということなのです。

したがって、Retro Stereo 50の場合は、いっそう微妙なところで美しい音が確保されていることになります。細心のテクノロジーとクラシックな真空管設計を組み合わせて、世界で最良のものを生み出しているのです。クラシックな真空管ではありますが、多くの人が真空管から連想するネガティブな側面(ノイズ、帯域の制限、パワーの制限、ぼやけた低音)はないのです。
 
実のところ、優れたスポーツカーがそうであるように、エンジンを吹かせば吹かすほど、反応が良好になります。Nirvanaを再生したいですか? Retro Stereo 50はきっとこう言うでしょう。「そんな小さな音量で僕をくすぐるのはやめてくれ。さあ、どんどん音量を上げようぜ」。

Retroの超高品質パーツ、さらにそれ以上

Retro Stereo 50の真空管増幅回路の残りの部分は、MELF抵抗(MELF形炭素皮膜固定抵抗器)を含む現代のSMDコンポーネント(表面実装部品)を使用してはいますが、まったくクラシックなものです。



C0Gキャパシター(積層セラミックコンデンサ)も使用しています。。。



旧友(昔なじみの回路)のパフォーマンスを新しい高みへと押し上げてくれるのです。。。

これらのパーツはいかに良質か?
説明しましょう。改良されたAMRのシグネチャーシリーズでは、それまでAMR機器のデジタルセクションに使われていたSanyo製の OSCON(導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ)に代わって、C0G(積層セラミックコンデンサ)が使われています。品質向上テクノロジーの例がこれです。そうです、これらの方法は、クラウドデザインで取り上げられたように、micro iDSDでも使われているのです。

真空管回路自体は超シンプルですが、同時に高度に洗練されてもいます。

ECF82ドライバー真空管は、「コンパウンド(複合)真空管」と呼ばれています。小さなシグナル5極管とかなりハイパワーな3極管を含んでいるのです。



5極管は唯一のボルテージ・ゲイン・ステージとして用いられています。この点で、ウェスタン・エレクトリックのクラシックな91Aアンプの設計に非常によく似ています。この91Aアンプは、シングルエンド・オペレーションによる300B真空管を世界に示したもので、真空管マニアの間では今なお最高の評価を保っているのです。



3極管は、5極管のゲイン・ステージと直接カップリングされており、「スプリット・ロード・フェーズ・スプリッター」と呼ばれるものとして動作します。これは2つの絶対的に等しい、しかし正反対のドライブ信号をパワーステージに供給します。この3極管はきわめてパワフルなので、私たちはこのパワーを使って、パワー真空管のためのパワフルなドライブ・ステージを創り出しています。EL84アンプのドライバーとしてよく使われているECC83真空管よりもずっと良好なドライブ力を持っているのです。

アンプ内の唯一のカップリング・キャパシター(ドイツのWima MKP-04タイプ)がドライバー・ステージとEL84パワー真空管をつないでいます。このEL84パワー真空管は、メンテナンスが容易なように、そしてまた調節不要で使用できるように、カソード・バイアス・モードで動作します。出力ステージは、「ウルトラ・リニア」と名付けられたコンフィギュレーションを使用しています。これによって、5極管動作による高効率性と3極管動作によるなめらかで音楽的なサウンドが良好にミックスされるのです。出力インピーダンスと歪みを低減するために、15dBほどのネガティブ・フィードバックが使われていますが、これはパフォーマンスを向上させながらも、多くのソリッドステートアンプが苦しんでいる、冴えのないハイフィードバック・サウンドをあまり生み出さないようにするのに、ちょうど良い数値なのです。

2015年4月12日日曜日

iFI Retro STEREO 50に採用されたEL84Xとは何か? そして他のEL84真空管とどう違うのか?

お客様からの質問…



私たちはレコード、SET(シングルエンド3極管)、フルレンジスピーカーが大好きで、様々な真空管をテストし、計測し、試聴した結果、EL84Xを見つけました。それは私たちが、一般に使われている6922sファミリーと比較した結果、GE5670プレミアム・ファミリーに出会ったのと同じようなものです。



EL84XはEL84とほぼ同じなのですが、現在製造されているEL84真空管と比較すると、主として評価が高い点、そしてもう少し音質が良い点が違います(少なくともRetro Stereo 50では、にんまりです)。



このブランド及びモデルの真空管の音質は、そのまま電気的特性につながっています。たとえば、ピーク・カソード・エミッション(陰極の電子放出量の上限)が標準的なEL84よりも高いので、より高いピーク電流を保持することができるのです。私たちの記録には、他の細かな点でもこの真空管が優れているという側面が多数記載されています。



EL84を使用したアンプの中には、何の変更もなしにEL84がそのまま使われるものもあれば、そうでないものもあります。Retro Stereo 50は、どちらの真空管を使ってもよいように設計されています(とはいえ、真空管の取り替えは保証が切れるまではお待ちください)。
理由は明らかですが、私たちは音質の良い、大量に入手できる真空管を求めて、市場を探しまわります。こうして私たちはこの真空管を見つけたのです。これは軍事用の真空管なので、オーディオ用に宣伝されることはなく、またオーディオ専用ともされていないのです。実際に使用すると、すばらしい“スーパーEL84”であることがわかります。EL84Xと命名されているのは、これが理由です。


明白な理由により、私たちは真空管の正確な番号を開示しないことにしています。取り替えはiFiでできますし、今後もずっとそうします。一般に販売されているEL84はまったく問題なくRetro Stereo 50で使用することができます。いずれは、私たちのEL84Xよりも音の良いEL84を製造する工場ができるかもしれませんね。

2015年4月9日木曜日

【新製品速報β版】Pro iCan「プロ」シリーズ予告!

ご存じのように、iFIにはnano、microの各シリーズがありますが、新たに予定していたminiシリーズは「pro」シリーズに改称させていただくことにしました。これはiFIのフラッグシップ、あるいはヘリキャリアなのです。ちなみにヘリキャリアとは、映画「アベンジャーズ」に登場した超巨大空母ですね。
これは、プロ用オーディオマーケットのみならず、ホームオーディオにも重要なシリーズです。Proシリーズで発売が計画されているのは、iDSD、iCAN、iUSB Powerです。ほかにもあるかもしれません。
音質の点で言えば、iCANはすばらしい音への取り組みの結果生まれたもので、市場にあるあらゆるヘッドフォンを駆動できてしまいます。STAXのようなエレクトロスタティック(静電型)ヘッドフォンでも駆動できます(とはいえ、特別な外付け「エナジャイザー・モジュール」が別途に必要になりますが)。
よくあることですが、私たちはつい興奮してしまって、iCANとiTUBEを(かつてお知らせしたように)別々に作る代わりに、これら2つを組み合わせてしまいました。そしてさらに刺激を求めて、プリアンプも加えてしまったのです。
ですからpro iCANは、今やiCAN + iTUBE + iPreがひとつになり、激しくパワーアップした純然たるアナログヘッドフォンアンプです。

さらに、ほんとうに面白いものにするために、私たちは増幅セクションを2つ内蔵して、選べるようにしています。次のような仕様になっています。

もっとも顕著な特徴あれこれ:

  • 入力に真空管とソリッドステートのどちらかを選べる。しかもフルディスクリートA級設計。
  • フロントパネルに3ピンと4ピンのXLRバランスアウト+6.3mmヘッドフォンジャック。
  • 6.3mm標準ジャックによるアンバランス出力(ダイレクト)と、フロントパネルにIEM(インイヤーモニター)等を駆動するための内蔵IEMatchアッテネーターを備えた2つの3.5mmミニジャック。
  • 1組のXLR入力と3組のRCA入力。
  • 背面に1組のXLRアウトと1組のRCAアウト(プリ=ライン・アウト)
  • 最大出力20V以上、600Ωのヘッドフォンに600mW、16Ωで最大約16,000mW、16Ωで連続出力約6,000mW。
  • フロントパネルから3段階のゲインを選択可能。
  • バランス設計のALPSボリュームコントロール(リモコン付き)。
  • ヘッドフォン用3DホログラフィックとXBass(それぞれ3段階に調節可能+OFF)。
  • 500mW/16オームまですべてのステージでA級動作、120オーム以上のヘッドフォンですべてのレベルで純A級動作。
  • プロ用の真空管ベースの機器に由来する回路を、真空管またはJ-FET(選択可能)とバイポーラー・トランジスター及びMOS FETを組み合わせたハイブリッド設計で実現。
  • 15V/4A超低ノイズPSU(パワーサプライユニット)(iPowerと同じ第2世代)による内部パワーサプライを含むフル・デュアルモノ設計。
  • オプションでエレクトロスタティック・ヘッドフォン用の外付け「エナジャイザー・モジュール」を用意。1,700V最大出力、STAX HiFi/Pro、Sennheiser、その他用にバイアス選択可。
  • 出力レベル選択可、STAX Pro & HiFiソケット×3。



pro iCAN
Balanced Headphone Amplifier バランス・ヘッドフォン・アンプ


  • 電源:外付けDC 15V/4A アダプター
  • 入力(背面):1 x XLRバランス・ステレオ/3 x RCAステレオ
  • 出力(前面):4ピン XLRヘッドフォン(バランス)/デュアル3-Pin XLR(バランス)/ 6.3mmヘッドフォン x2(シングルエンドまたはバランス)
  • 6.3 mm→3.5mmアダプター同梱
  • 3.5mm iEMatchアッテネーター×2
  • 出力(背面):XLRバランス・ステレオ(プリアウト)/1 X RCAステレオ(プリアウト)/エナジャイザー・モジュール用にMultipin Linkコネクター
  • ボリュームコントロール:モーター駆動によるALPS 6-wayポテンショメーター
  • 増幅:GE 5670真空管×2本または超低ノイズJ-Fet×4本をフロントパネルのスイッチで選択可能
  • アナログ処理:X-Bass, +3dB at 80Hz, 160Hz, 320Hz
  • バーチャル・スピーカー角度:30°45°60°
  • ゲイン:0dB, 12dB and 24dBから選択可
  • SN比:>117dB(A)
  • 歪率:<0 .003="" p="">周波数帯域:0.5Hz to 500KHz(-3dB)
  • 出力:>6,000mW
  • 出力電圧 (600R):>20V (Balanced バランス); >10V (single ended シングルエンド)
  • サイズ:220mm x 62mm X 190mm (W X H X D including feet and connectors 脚とコネクターを含む)


もっと知りたいですか? ベータ版の現段階の写真をご覧ください。
おもしろいでしょう!






2015年4月7日火曜日

新製品iDAC2-その内部を見る(3)

Looking under the lid of the iDAC2 -
iDAC2の内部を見る

下部のクローズアップ(パート3)

ここにはプリント基板の中心を占めるアナログステージが見えます。(テキサス・インスツルメンツによる)バーブラウン製のJ-Fet入力「Soundplus®」オペアンプが見えますが、これはQuadタイプです。ケース内のオペアンプの2番目のペアはDCサーボとして使用されており、これによってカップリング・キャパシターの必要性がなくなっています。
そうなんです。信号経路は、DACからRCAジャツクやヘッドフォンジャックに至るまで、DCカップリングされているのです!
DCサーボは、回路内のDCオフセットを処理するのみならず、オーディオパスに補正電圧を送る前にあらゆる信号を除去しなければなりません。ここに歪みがあったら、問題が生じるからです。一般的な解決法は、DCサーボ用に安価で品質の悪いオペアンプを使用することですが、これでは予期せぬ音質の妥協へと至ることになってしまいます。
ご覧いただけばおわかりのように、アナログステージのパッシブコンポーネントもまた最高品質のものを使用しています。重要な部分のすべて(パワーサプライを含みます)にMELF抵抗(MELF形炭素皮膜固定抵抗器)とC0G(積層セラミックコンデンサ)を使用しているのです。
左端にあるのが、新開発のデュアルモノ・ヘッドフォンアンプで、広範囲にわたってパワーサプライをデッカプリングしてくれます。これによって、C0Gも含めて、最少のノイズが実現されるのです。
オーディオ機能には、ここでもMELF抵抗が使われています。
これまでの解説でおわかりだと思いますが、私たちは安価なパーツを使っていません。私たちがありとあらゆることを試してみたことをわかっていただくために、まもなく発売になる777 シグネチャー・エディションの内部の写真をいくつかお見せしましょう。高価なパーツがそこでも使われているからです。


2015年4月6日月曜日

新製品iDAC2-その内部を見る(2)

Looking under the lid of the iDAC2 -
iDAC2の内部を見る

上部のクローズアップ(パート2)

プリント基板の上部について:
注目すべき点:アナログステージとA級ライン出力バッファーをデカップリングするエルナー社の2つのSilmicパワーサプライ・キャパシターの先には、470 uFという大容量の低インピーダンス・キャパシターがあり、これが他の回路のパーツ用のパワーサプライをデカップリングしています。

1. 右側の4つのキャパシター(アナログ・ボリューム・ポテンショメーターの近くにある、いちばん端の#1)は、各チャンネルのそれぞれ2つのヘッドフォンアンプ用のパワーをバックアップする役割を担っています。ヘッドフォンアンプはデュアル・モノ構成で、2つの独立したヘッドフォンアンプを備えているのです。アンプからほんの数ミリのところに大容量のパワーサプライ・キャパシターがあるということは、フルパワーでトランジェントを容易にこなすことができるということです。

2. 下端の中央にあるのが、DACセクション(アンダーラインが引かれています)と、私たちが新しく開発した、かなりユニークなシャント(分流)ノイズフィルター(#2の緑の矢印; DAC用のUSBパワーをクリーンにします)を含むDAC用のパワーサプライです。DAC用には、「レファレンス」と呼ばれる重要なピンがあります。私たちは、このピンには常に大きな注意を払っていますが、iDAC2はまもなく発売される「Proシリーズ」の技術をすでに流用しており、ハイグレードなパナソニック・ジャパン製のフィルム・キャパシターを表面に装備しています。これがもっと安価なC0Gキャパシターと組み合わされて、「最高にクリーンな」レファレンス・ピン・ボルテージを供給するのです。AP2では、かなり有効な数値を示します。

3. プリント基板の左側には、デジタル・パワー・サプライを備えたデジタル・エンジンの全体が置かれています。470 uFの低インピーダンス・キャパシターが一対、そしてオーディオ・クロック(専用の低ノイズ・リニア・レギュレーターを備えています)とデジタルフィルターの切り替えスイッチがあります。

「プリント基板の下部について」に続く

2015年4月5日日曜日

新製品iDAC2-その内部を見る(1)

新製品iDAC2について、3回にわたって連載をお届けします。

Looking under the lid of the iDAC2 - 
iDAC2の内部を見る

Silmic Capsのクローズアップ(パート1)
iDAC2の中心部には、ゼロから新開発されたアナログステージがあります。使用されているバーブラウン製のDSD/DXDネイティブDACチップに最適なライン出力を与えるように設計されています。このアナログステージをサポートするために、エルナー・ジャパン製の、特別なオーディオグレードのSilmic II(現在利用できる最高級のグレードで、買うことのできる最良のオーディオグレードのキャパシターです)が取り付けられています。何と、これらは最高級のAMRの機器に使用されているものなのです。

アナログステージはまた、ディスクリートA級バッファーも使用しています。このバッファーは、N-Channel J-FetとPNP バイポーラートランジスターを組み合わせたもので、それによってこのバッファーは600オームの負荷をも扱うことが可能になっています。最終的には、まもなく発売される「Proシリーズ」には採用されませんでしたが、このバッファーはもともとは「Proシリーズ」に組み込むために設計され、テストされていました。その後、「Proシリーズ」にはもっとラディカルなものを使った方がいいということになったのです。

このアナログ回路の全体は、2つのSilmicキャパシターの下に直接配置されています。このように回路を「3D」配置することによって、A級バッファーに「バックアップ・パワー」を供給するキャパシターが、回路にできる限り近く配置されることが確保されるのです。

パート2に続く

2015年4月1日水曜日

iFI流デジタルフィルター考察 ── アクティブフィルターか、パッシブフィルターか、それが問題だ(パート2)

How to filter digital audio - デジタル・オーディオにどうやってフィルターをかけるか

もしもデジタル・フィルター(これもまたまったくの悩みの種です)をなしにすれば、フィルターを作るためには、予測できる形で周波数に応じて変化する電子パーツが必要になります。

1. シンプルなフィルター - それなりの性能

いちばんシンプルなフィルターは、単一の抵抗をインダクターまたはキャパシターと組み合わせたものです。問題は、このようなシンプルなフィルターは信号とノイズをあまり区別できない点です。信号にはほとんど影響を与えませんが、ノイズに対してもそれほど有効ではないのです。


このシンプルなフィルターで得られるよりももっと信号とノイズを区別できるものが通常は必要になります。

2. パッシブフィルター - 理論的には良いが、実現は容易ではない

ひとつの方法は、多重抵抗をインダクターとキャパシターと組み合わせて使うことです。
これはパッシブフィルターと呼ばれます。

実際にキャパシターとインダクターを用いたフィルターは、100MHzまで効果があります。ですから、イメージだけでなく、スイッチングノイズまで、きわめて高い効果でフィルターをかけることができます。


高品質なインダクターはスペースを取り、コストもかかります。そしてまた、歪みをあまり生じさせないインダクターを見つけ出すのはむずかしいことが多いのです。この方法が今日あまり見られないのは、それが理由です。理想のフィルターにきわめて近いところにまでたどり着き、初期のデジタル装置にはもちろん使用されていたのですが。。。

3. アクティブフィルター - 猫の皮を剥ぐもうひとつの方法

残る方法は、アクティブフィルターを使用することです。この方法では、私たちは抵抗とキャパシターだけを使い、増幅によってインダクターを「シミュレーション」します。これはつまり、フィルター機能を形成するために、アクティブエレメント(素子)の増幅機能に依存するということです。

インダクターを排除する点以外のひとつの鍵となる有利な点は、アクティブフィルターによって設計者は、信号とノイズを区別する能力と、信号へのフィルターの影響の間のどのあたりで折り合いを付けるかについて、非常に大きな自由が得られるということです。

もうひとつ有利な点は、これらのフィルターについては幅広く論じられており、簡単に計算し、モデルを作ることができるということです。


不利な点もあります。一般のアンプのエレメントの大半は、周波数が高くなると増幅機能が低下するということです。多くのオーディオ・オペアンプは、数メガヘルツを超える周波数ではゲインが残りません。ですから、きわめて高い周波数では、フィルターは必要なフィルター機能を果たさなくなるのです。

つまり、こういったアクティブフィルターは、適切なパッシブフィルターよりも容易に、安価に導入することができ、いわゆる「イメージ」にうまくフィルターをかけることができるのですが、同時にまた、DACから生じるスイッチングノイズにフィルターをかけるために苦闘することも多いということなのです。

決断、決断、どうすればいいのか?

結局、様々な要求をどうやって満たすか、そして相容れない要素にどのように折り合いを付けさせるかは、設計者の選択になります。

nano iDSDでは、パッシブフィルターだけに依存していますが、フィルターの信号とノイズを区別する能力はiFiの他のDACほど優れてはいません。
micro iDSD、micro iDAC2、そしてRetro Stereo 50のDACでは、私たちは非常に帯域幅の広いオペアンプを使用して、パッシブフィルターとアクティブフィルターを組み合わせて使っています。

iDSD PROでは、予算とサイズの制約はあまり大きな問題とならないので、フル・パッシブフィルターを使っています。
nano iDSDを(クルマの)BMWのM1と考えれば、micro iDSD/iDAC2はM3、そしてiDSD ProはM5ということになります。

それぞれ値段が違い、エンジンや性能の特徴が様々なユーザーに合わせてあります。

(ついでながら、私たちは社内で独自にコードを開発しながら、(こともあろうに)基板上のXMOSを「リマッピング」して、理論上の「データシート・スペック」を超えさせてしまいました。iFiプラットフォームのQuad-DSD256とOcta-DSD512を見れば、それは明らかです。ですから、私たちのMシリーズは工場バージョンを超えているのです。)

クルマ好きの方々に尋ねられる前に言っておきますが、BMW i8は、AMR用に取ってあるのです。
原文