2014年4月30日水曜日

iFI nano iDSDのボリューム技術について iFI nano iDSD Volume Control Explained (technical version)

お問い合わせを幾つかいただいていたnano iDSDのボリュームについてのiFI本社の公式見解です。(その2 nano iDSDに採用されたボリューム技術について)

iFI nano iDSD
1: Software Controlled Analogue Volume Control
To achieve the most transparent and highest resolution sound, the analogue volume control used inside the nano iDSD is a software-controlled Stepped Volume Control.

  • Pros: most transparent, highest resolution, one of the best volume controls available.
  • Cons: expensive, has finite steps.

A Stepped Volume Control used to look like the one on the right and cost a couple hundred of dollars each.  Hence, only super high-end components are capable of employing them.
But nowadays the most advance Stepped Volume Control is done via many tiny, high-quality resistor arrays inside a special purpose IC, and then controlled via software.


1. ソフトウェアで制御されたアナログ・ボリュームコントロール
最高に透明な、最高の解像度のサウンドを実現するために、nano iDSDに採用されているアナログ・ボリュームコントロールは、ソフトウェアで制御されたステップ式ボリュームコントロールです。

  • メリット:最高に透明で、最高の解像度を有する。現在入手できる最良のボリュームコントロールのひとつである。
  • デメリット:高価で、ステップに限りがある。

ステップ式ボリュームコントロールは、昔は右図のような形体で、1個が200~300ドルくらいしました。したがって、これを使うことができるのは、超ハイエンドのコンポーネントに限られていたのです。しかし今日では、特別な目的を持ったICの内部に、小さくて高品質な抵抗群を組み込み、それをソフトウェアで制御することによって、最高に高度なステップ式ボリュームコントロールが実現しています。

2: The Optimum Volume Control Position
The Stepped Volume Control used inside the nano iDSD has 64 steps.  The steps are arranged as follow:  
2. 最高のボリュームコントロール・ポジション(ボリューム位置)
nano iDSDに採用されているステップディ式ボリュームコントロールは、64ステップです。
このステップは、以下の表のように設定されています。

As we can see from the table above, when the volume control is used beyond 12 o’clock, it will provide the most optimum performance.

上記の表からわかるように、ボリュームコントロールは、12時を超えた位置が最高の結果が得られるのです。

Tip: Despite the Stepped Volume Control being extremely good, it is not perfect (nothing is), by going above 12 o’clock, as “less” of the volume control is used, sonics will be more transparent.
ヒント:ステップ式ボリュームコントロールは並外れて優れたものではありますが、完璧というわけではありません(完璧なものなどありませんから)。12時を超えることによって、(ボリュームがコントロールされるステップの幅が小さくなるので)サウンドの透明度が増すのです。

Tip: nano iDSD has nearly 10x the output of a smartphone headphone output, so headphones (mainly IEMs) designed for smartphone use may be too sensitive for the nano iDSD.
ヒント:nano iDSDは、スマートフォンのヘッドフォン出力に比べると、ほぼ10倍の出力パワーを持っていますので、スマートフォン用に設計されたヘッドフォン(特に IEM=イン・イヤー・モニター)は、nano iDSDで使うと感度が高すぎるということが起こる可能性があります。


If you cannot use the volume beyond 10 o’clock, then your headphone is too sensitive for the nano iDSD.  An inline attenuator (say -12dB, between the headphone and the nano iDSD) is required to match the headphone to the nano iDSD.
もしも10時を超えてボリュームを設定することができないのなら、ご使用のヘッドフォンの感度が、nano iDSDで使うには高すぎるということになります。こういったヘッドフォンをnano iDSDに合わせるには、(たとえば、ヘッドフォンとnano  iDSD間が-12dB程度になるような)アッテネーターを直結して使うことがが必要となります。

なお、nano iCANについても同じ方式のボリュームが採用されているとのことでした(追記5/12)
以上がiFIオーディオからの公式見解です。

nanoシリーズのボリュームについて The Volume Control explained

お問い合わせを幾つかいただいていたnano iDSDのボリュームについてのiFI本社の公式見解です。(その1 ボリュームの方式について)
The Volume Control explained
1. Two types of volume controls 
There are two types of volume controls in audio equipment: analogue and digital.
●Analogue volume control is usually either a potentiometer or a stepper. The stepper version is usually more expensive.
●Digital volume control is usually built into the DAC chipset itself.

1. ボリュームコントロールの2つのタイプ
オーディオ装置のボリュームコントロールには、2つのタイプがあります:アナログとデジタルです。
●アナログ・ボリュームコントロールは、通常はポテンシオメーターかステッパーで行われます。一般にはステッパーの方が高価です。




●デジタル・ボリュームコントロールは、通常はDACのチップセット本体内に組み込まれます。



2. Pros and Cons
2. メリットとデメリット




Note 1: The sound quality of most decent analogue volume controls is a major step up from digital ones (see Note 2 below).  However, low-quality analogue volume controls can sound worse than a digital one.

Note 2: Every 6dB volume decrease will reduce the resolution by 1-Bit, i.e. 16-Bit audio source will become 15-Bit.  With normal systems, listening at -10dB to -30dB volume is normal.  Hence, with a digital volume control,  CD (16-Bit) suddenly becomes a low-resolution 11-Bit source, even a 24-Bit HD file becomes only 19-Bit
Note 3: The digital volume control is normally built into the DAC chipset at no extra cost. 

※1:ちゃんとしたアナログ・ボリュームコントロールの大半は、デジタル・ボリュームコントロールよりもはるかに良い音質を持っています(下の注2をご参照ください)。しかし、品質の悪いアナログ・ボリュームコントロールは、デジタル・ボリュームコントロールよりも音質が悪くなることがあります。
※2:ボリュームを6dB下げる度に、解像度が1ビット落ちます。ということは、16ビットの音源が15ビットになるということです。通常の再生システムでは、-10dB〜-30dBで音楽を聴くのが普通です。この理由により、デジタル・ボリュームコントロールを採用すると、CD(16ビット)が突然解像度の低い11ビットになってしまいます。24ビットの高密度ファイルでさえも19ビットに落ちてしまうのです。

※3:デジタル・ボリュームコントロールは、通常はDACのチップセット内に組み込まれますが、これには費用はかかりません。

Comments
i. All analogue volume controls exhibit a small amount of channel imbalance at very low volume settings (below 10 o’clock).
ii. An analogue volume control (stepper version) will also have finite steps (24-64 steps) over the whole range.  Hence at very low volume settings (below 10 o’clock), where the steps are larger, one will hear volume change in larger steps.

コメント
i. すべてのアナログ・ボリュームコントロールは、ボリュームがきわめて低い時には(10時より下の場合)、左右チャンネルのバランスがわずかに崩れます。
ii. アナログ・ボリュームコントロール(ステップ方式によるもの)はまた、全域でステップが限られています(24〜64ステップ)。このため、ボリュームがきわめて低い時には(10時より下の場合で、ひとつひとつのステップの幅が他より大きい)、ボリュームの変化が他よりも大きなステップで聞こえます。

If normal listening is performed at 9 o'clock (should be 12 o'clock or beyond), the IEM/headphone is likely to be too sensitive for the iDSD/iCAN.
There are two solutions:
1.   Attenuator – to reduce the line output from the iDSD.
2.   Select an alternative IEM/headphone to match the iDSD.

iDSDやiCANを使用して、通常9時の位置で音楽を聴くということは(本来は12時またはそれ以上の位置で聴くのが望ましいのですが)、IEM(イン・イヤー・モニター)やヘッドフォンの感度が高すぎるということを意味します。
これには、2つの解決法があります。
1. 任意のアッテネーターを使用する:iDSDのライン出力の端子に接続する。
2. iDSDに合ったIEMやヘッドフォンを使う。