2014年1月19日日曜日

スペイン再発見

スペインの新しい古楽団体アカデミア・デル・ピアチェーレの「スペイン再発見」というアルバムがかなり素敵なんでご紹介。バッハより少し前の、ガスパール・サンス(1640~1710)やジョスカン・デ・プレ(1440~1521)、アントニオ・デ・カベソン(1510~1566)などのスペイン音楽を、この時代の音楽の第一人者と目されるサバール&エスペリオン組よりもかなりモダンな解釈とアレンジで演奏しています。かき鳴らされるルネサンス・ギター、打ち鳴らされるカスタネット・・・ルネサンス~バロック期の音楽がジプシー・キングスのように響くところもあり、けっこう快感!

Rediscovering Spain(スペイン再発見)

イギリスのダウンロードサイトThe Classical Shopで24Bit/96KHzの配信も行われています。→ REDISCOVERING SPAIN - Fantasias, diferencias, glosas

録音は、いわゆる「伝統的なクラシカル・アコースティック録音」とは別物。いわゆる「ホール録音」ではなく、セビリアのスプートニク・スタジオというところでレコーディングしています。

→ウェブサイト http://www.grabacionesestelares.com/
→FBページ https://www.facebook.com/RecordingStudiosSputnik


リバーブもアコースティック編成ならチャーチエコーのようなナチュラル系を選択するのが普通ですが、このアルバムはまるでそれをあざ笑うかのように、レキシコンのプレートらしきものを選択、わざと人工的にしているようです。

アルバム1曲目を波形解析してみたのが以下キャプチャ。マスタリングも、昨今の音圧アゲアゲ系ほどじゃないにしても、それなりにリミッターでピークを潰した仕上がり。まあこの程度なら音圧重視とまではいかない、いわゆる許容範囲内でしょう。



スタジオでオンマイクでとったものだし、マスタリングもこういう傾向だと、糸を吐くようなピアニッシモの緊張感というのは望めませんし、全体の響きもこの演奏をホールライヴで聴くのとは大違いのはずです。レコーディングに適した教会も音楽ホールもたくさんあるヨーロッパで、あえてスタジオでの収録を選んだのは、ラテン系のポップスのノリのよさ、エッジがきいたアレンジを見るまでもなく、スティングのダウランドアルバムのように今日的な響きを望んだんでしょうね。このグループのリーダーでヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のファーミ・アルカイ、相当キレ者のようですね。経歴を見ると先達サバールのグループに参加歴はあるものの、古楽だけじゃなくコンテンポラリー、ジャズといったフィールドにも進出しているので、これまでのレコーディング経験を反映して、音楽そのものに合うレコーディング方式を選択したんだろうと推察されます。





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