2014年7月4日金曜日

micro iDSD開発(23)スーパー・デューパー仕様2.2(iPurifier Lite)

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月29日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-hifi-man-he-6-takes-on-the-meaty-monster-page-82/1125#post_10671925

iPurifier Lite




背景
これはスーパー・デューパー仕様の最後のアイテムです。皆様が求めていた、クラウドデザイン仕様の一つを盛り込むことができたのは、適切でした。Micro iDSDにiPurifierを組み込んだのです。

Micro iDSDは、USB伝送にまつわる諸問題に取り組むためのiPurifierテクノロジーを使っています。

説明
USBはPCからオーディオ+電力を伝送します。



PCのハードウェアのコスト削減の一般的な方法によって、PCから出力されるUSB信号は通常は品質が低く、間違いなく高品質USBオーディオ再生には不十分です。

途中で拾い上げられる不要なEMI/RFIとともに、USB信号(これはバランス信号です)はアンバランスになり、雑音が増え、有害なDCオフセットを示します。

この不完全な状態は、USB信号をオシロスコープで測定すれば簡単に確認できます(オシロスコープは、たとえば300MHzといった、十分な帯域が必要です。そうでないと、オシロスコープが遅くなりすぎて、問題が可視化できなくなってしまいます)。

micro iDSDに組み込まれたiPurifierは:
1. Cleans up the data lines  データラインをクリーニングします
2. Re-balances the USB signal  USB信号を再バランス化します
3. Removes the DC offset and  DCオフセットを取り除き
4. Filters out the EMI/RFI noise.   EMI/FRI ノイズをフィルターで除去します

グラフィック的にはこんな感じです:



micro iDSDに組み込まれたiPurifierのフィルターは、ローパスを形成します。これが高周波ノイズを食い止めるのです。1MHzで50dBほど(300倍)ノイズを減少させます。

フィルターは、ディファレンシャルノイズとコモンモードノイズの両方に作用するように設計されています。このフィルターはまた、アース線に沿って放射されるノイズ(RFノイズによってオーディオのアースを汚染する)も食い止めます。

リスナーにどのような恩恵があるか
iPurifier なしの場合と比べて、内部の解像度が改善され、ノイズフロアも改善されます。iPurifierはまた、USBケーブルやアダプターの問題も軽減します。

CCK/OTGタイプAポートに関する質問に答える付録も、後に用意しておきます。

2014年7月3日木曜日

iFIオーディオ主任エンジニア、トルステン博士かく語りき(4)連載インタビュー付録:PCM vs DSD

実際に何が“ネイティブDSD”、またはネイティブPCMを構成しているのかは、重要な問題になっています。PCMとDSDは根本的に異なるフォーマットです。このことはPCMとDSDのそれぞれのデジタル化された波形の素の状態を観察すればはっきりと分かります。

それぞれのフォーマットは異なる長所と短所を備えています。一つのフォーマットからもう一つのフォーマットに変換する際は必ずデータの損失が発生します。さらに悪いことに、そのプロセスの中で、私たちはひとつのフォーマットを並外れたものにしているものを何でもかまわず取り除き、その上同時にもう一方のフォーマットの限界を押しつけてしまうという傾向があります。結果として、私たちは両方のベストが得られるどころか、片方のベストすら享受することなく、両方の“悪いところ取り”をしてしまいます。


はじめに少しばかり歴史的なお話をしてしまいますが、お付き合いください。

デジタルオーディオはPCM(日本のEIJA標準規格による14と16bit PCMが主流ですが、Deccaが採用していた標準外規格もありました)とビットストリームシステム(基本的なところで似ていますが、デジタルオーディオプロセッサー「DBX Model 700」のDSDシステムよりも性能は劣っていました)の2つでスタートしました。

元もとCDにとって標準のシステムであるPCMは、音楽信号を毎22.7マイクロ秒(44.1kHzのサンプリングレート)の速度で読み取り、65,536通りの値(216 – 16 bitのバイナリ偏差値)から一つの値に変換します。つまりどのタイミングにおいてもリファレンスと比較した絶対値があって、ちょうどアナログシステムのようになっています。キーポイントになる相違点は、継続的な波形がなく、元の波形に近い矩形波となっていて、アナログローパスフィルターにより矩形波を滑らかなものに変換しているところです。

もし44.1kHz/16BitのPCM信号を可視化するなら、1秒間で44,100ピクセルの幅と、65,536ピクセルの高さ情報により画像を表現することができます。PCM信号は振幅に対して常に絶対的な精度と解像度を備えています。欠点としては、厳密に再エンコードする際に、アナログ信号にローパスフィルターをかけなければならないのですが、そうすると、付随するフェーズ及びタイムドメインのエラーと、きわめて粗いタイムドメイン解像度を伴うことになるのです。

44.1KHz PCM digital audio system (e.g. Sony PCM F1)Mr. Loesch’s own Sony PCM F1 portable recording system, originally owned by Alan Parsons


比較してみると、DBXビットストリームシステムは、仮に信号が最終のサンプリング値から上下に変動した場合、1.55マイクロ秒ごとに値を特定します。これはDSDの約1/4となるサンプリングレートである644kHz に相当します。つまりそれぞれのポイントで絶対値はなく、22.7マイクロ秒の長さを持つタイムウインドウ(これはPCMの44.1kHzウインドウに相当します)の中で、PCMの65536という値に比べて、わずか14.6という値のみが処理されるのです。

ノイズシェーピングという技術を使えばより多くの値を処理できますが、タイムウインドウをもっと長くする(平均値を適用する)必要が生じます。DSDのより高いサンプリングレートはある程度この問題を改善しています。

644kHzのDBXビットストリームシステムを可視化したいと思えば、1秒で644,000ピクセルの幅と2ピクセルの高さの画像が得られるでしょう。シングルビット/ビットストリームシステムは振幅のドメイン情報において正確性と解像度に欠ける傾向があるものの、タイムドメイン情報における正確性には富んでいます。おまけにこのビットストリームシステムは、PCMで必要になる急勾配なアンチエイリアスフィルターが不要です。ただローパスフィルターはやはり必要です。

Classic Bitstream digital audio system - dbx Model 700 Bitstream AD & DA Processor

どちらのシステムも、再生側である種のローパスフィルターが必要であり、可聴帯域外ノイズとフェーズ/タイムドメインエラーの間で何を生かし何を犠牲にするかについての、様々な選択要素があります。

このPCMとビットストリームの“フォーマット戦争”において、第1ラウンドはPCMが圧倒的勝利を収め、デジタルオーディオの事実上の業界標準となりました。その後にはCDやDVDの音声標準にもなったのです。DBX Model 700が歴史の片隅に追いやられ、ほとんど忘れられてしまったのに対して、ソニーのセミプロ向けポータブル機「PCM-F1」や、スタジオプログレードの「PCM1630」などの機材は、デジタル録音の草創期に業界標準のデジタルプロセッサーになりました。

appx. late 90’s digital audio system – single-bit ADC to CD or DVD to single-bit DAC in 16 Bit / 44KHz or 24Bit / 96KHz


リアルPCMによるオーディオ録音・再生は録音中にマルチビット処理によるアナログ→デジタル変換(ADC)を行い、(再生時に)デジタル→アナログ変換(DAC)を行っていました。このようなマルチビット処理のコンバーターは複雑で処理に時間がかかるため、製造コストも高く付きますが、デジタルオーディオの初期10年間には一世を風靡しました。

これと比較すると、シングルビット/ビットストリームタイプのADCとDACは、ずっと簡易な構造であるため製造コストも安価に抑えられます。だから90年代初頭には、ハードウェア(ADCとDACチップ)の市場はシングルビット/ビットストリームコンバーターに流行が移り、リアルPCMからは遠ざかっていったのです。

Crystal CS4303 Delta Sigma DAC and Asahi Kasei AK5327 Delta Sigma ADC

でも例外は存在しました。1990年代終わり頃には最後の砦となっていたPacific Microsonic社がマルチビット処理のADCシステム「Model 1(そしてそれに続いて非常によく似たタイプのModel 2)」を製造していました。オーディオ用マルチビットDACは何とか持ちこたえて、今日でもまだ究極のUltra-Fidelityな再生システムに使われています。もっとも、低コストの製品についてはシングルビット/ビットストリームデバイスの機器が大半ですが。

今やほとんどのADC/DACがシングルビット/ビットストリーム機となりましたが、AD処理されたシングルビット/ビットストリーム信号はCDに収録するためにはPCMに変換される必要があり、さらにCDのPCM信号をシングルビット/ビットストリーム対応のDACで出力するには、CDのPCM信号を再びシングルビット/ビットストリームに変換し直さなければなりません。このように2度手間となる変換処理は最悪のシナリオです。情報ロスが2回生じるため、2度ものダメージを被った音源がつくられます。同じく、いわゆるラウドネス戦争の影響もこれにかさなり、商用音楽レコーディングの品質は1990年中頃から2000年中頃までの間に、非常に品質が落ちてしまいました。

そのため、1990年代半ば以降にリリースされた“PCM”録音は、“HD”PCMと書かれていながらも、実際にはシングルビットADC(つまりDSDとよく似た)により録音され、編集、マスタリング、リリースの際にPCMに変換されていたのです。

Yamaha 01V Digital Mixer with single-bit ADC’s and 16 Bit PCM output to CD to Marantz CD-Player with single-bit DAC


事実のところ、Pacific Microsonic 社の「Model 1」、または「Model 2」で録音された音源だけが唯一、本物のHD PCMであると考えられ、非常に珍しいコンバーターであるがゆえに、録音タイトルも同様に数は多くありません。したがって、わずかな人々だけが真の“PCM”オーディオを聴いていて、さらに稀少な方々が“HD”のPCMオーディオを聴いていたというのが、悲しいけれど本当のことなのです。

appx. late 90’s HD PCM digital audio system – Pacific Microsonic Model 2 Studio 24-Bit / 176.4KHz Multi-bit AD/DA Processor with HDCD


90年代の終盤のこういった問題を考えて(そしてその他のより商業的な理由により)、ソニーとフィリップスはDSDという名称で、商用ビットストリームフォーマットを(再度)起ち上げようとしました。まずはアーカイブ用として、続いてスーパーオーディオCD(SACD)と呼ばれるCDに代わるオーディオフォーマットをつくりました。DSDはシングルビットからPCMへの変換、そしてその逆の変換手順を省略して、直接シングルビット/ビットストリームで録音します。このようにシングルビット/ビットストリームでAD変換したソースをシングルビット/ビットストリームでDA変換して再生するDSD/SACDは、CDからの大きな進化となりました。

appx. late 90’s DSD digital audio system – SACD


しかしこのビットストリームフォーマットはマーケティング的な観点からみれば、やはり成功したとは言えないものでした。この間に、アナログレコードにすら後塵を拝するほどSACDの売り上げは停滞していました。

DVDや動画側でより高いサンプリングレート、ビット深度による収録が標準化すると、ハードウェア産業は“CDを超える”品質を持ったAD/DA変換への解決法を迫られるようになります。彼らはそもそもシングルビット/ビットストリームの技術が適していないという結論に至り、“マルチビット”変換に相当する数ビットをビットストリーム変換と組み合わせた、様々な、いわゆる“ハイブリッド”システムが新しい標準となりました。

appx.2013 typical DSD revival digital audio system – “DSD capable DAC”


この技術を使ったADC/DACの中で最も良いものは、デジタル変換における事実上の最新スタンダードになりました。しかしながら、もちろん問題もあります。今や6〜8ビットで駆動して、256または512回のオーバーサンプリング処理に対応するADCがあります。同様のスペックのDACもあります。これは、おそらくは24bit駆動で768kHzのマルチビット能力を持った真のマルチビッットADCやDACとまったく同じではないでしょうが、原理的には、従来のシングルビット/ビットストリーム機器の性能ははるかに凌ぐポテンシャルを持っています。

しかしこういった技術を使用したADCとDAC間の “転送”は、DSDまたはPCMの可変速度処理にのみ対応しています。この新しいシステムに“ネイティブ”のフォーマットはないので。これは、DSDによって解決しようとしたのと同じ問題を、より高次ながらも、再度つくりだしました。録音をする際にはDSDかPCMに変換を行いますが、どちらの場合もオリジナル録音だけが持っているクオリティを多少とも失ってしまいます。

もしも352.8kHz/24bitのDXD-PCM信号を、1bit/2.822MHzのDSDに変換するとしたら、PCMフォーマットで可能な振幅情報の99.96%ほどを捨てなければならず、また一方でDSDで可能なタイムドメイン情報の12.5%しか得ることができません。

もしDSDからDXDへ、すなわち1 bit / 2.822MHzから352.8kHz/24 bitの信号に変換するなら、DSDソースが持つ87.5%のタイムドメイン情報を捨てなければなりません。それらすべてを振幅ドメインに理論的にリマッピングすることは可能ですが。

つまり実際には両方のフォーマットのベストというより、むしろ最悪の部分を取り出してしまう結果になるのです。

これらのADC/DACの部品は、一般にはPCM中心の市場向けに開発されていました。そこでは、レコーディング/編集/マスタリング/リリースの全工程がPCMで処理され、ADCは全般にPCMで出力され、DACはPCM信号の入力を想定しています。そしてそれらは、このオペレーションに最適化されている傾向にあります。

DSDはしばしば“それらしい用語を使って流行に合わせる”ため、後から補足的に取ってつけられる機能になりがちです。こういった多くのDACは、例えばデジタルフィルタリングとデジタルボリュームコントロールの付いた完全なPCMオーディオパスを持っています。その内部では、DSDはまずPCMに変換され、デジタルフィルターをかけて(ここでPCMからDSDデータストリームへの変換で生じる全ての悪影響が追加されてしまい)、最終的にマルチビットによるDelta Sigma変換が行われます。つまり望ましくない2つの変換処理が、DACチップと呼ばれるブラックボックスの心臓部分で行われることになるのです。

最終的に私たちは、過去から現在に、そして“ネイティブ”のDSDとPCMに戻ってきました。もしも本当にDSDからベストな音を引き出したいのならば、まずはPCMに変換してからPCMの信号データとして処理を行って、マルチビットのDelta Sigmaとして再生することで、実際はDSDを直でPCMに変換して、PCMとして再生することとほぼ同義になります。このようなことが「DSD対応DAC」と呼ばれる製品の多くで起こっているのです。

Single-bit ADC with DSD output to File played on Mac/Audirvana and “Brand X” “DSD DAC” with hybrid DAC


このようなPCMとDSD間の変換に対応するコンバーターから、私たちが聴き分けられる音の違いは、厳密に変換アルゴリズムによって生じているものであり、フォーマットそのものの違いによるものではありません。元の手を付けていないDSD音源に比べれば、信号ロスは避け難いものです。

理想的であるのは、本当のマルチビットDACを使ってPCMをPCMとして再生することです(オリジナルのAD変換されたソースが何であっても、1段階の処理工程に伴うロスを被らないですむのです)。そしてデジタルドメインの中で余計な処理を加えずに、DSD信号をピュアなDelta Sigmaとして再生することです(オリジナルのAD変換されたソースが何であっても、1段階の処理工程に伴うロスを被らないですむのです)。これが我々の望みであるとしたら、最新のフラグシップと呼ばれるDACの大半は非常に良くないということがわかります。多くの製品はPCMとDSDともに台無しにしています。

nano iDSD(そして近々発売の全てのiDSDレンジ)では、私たちこれを提供するためにあらゆることをやっています。DSDとPCMの両方を適切に扱えるDACチップをすぐにも見つけることは大変な難題でした。メーカーは一般的にチップの内部情報を公開したがらないので、本当はどんな処理が行われているのか知るためには、実際のパーツを手に入れてから独自に入念なテストをしなければならないのです。

nano iDSDで使っているDACチップでは少し変わった処理を行っています。PCMオーディオの上位6bitの信号に対して、6bitトゥルーマルチビットDACを用いることで、Burr BrownのマルチビットDACの有名な特質である、暖かいと同時に迫力のあるサウンドを実現しています。これより下位のビット情報は全て、等級の低い256スピードのDelta Sigma変調器により(事実上のDSD256)変換され、PCM再生時に、Delta Sigma DACとDSDの有名な特質である滑らかなサウンドを提供します。

DSDの再生時には同じDelta Sigma変調器が、直接DSDのビットストリームからアナログ信号に変換するかたちで使用されます。もちろん、DSDに使うことができるデジタルフィルターやデジタルボリュームコントロールは存在しないので、これらの機能は元々あるべきアナログドメインに追加しなければなりません。最後にiDSD nanoの魅力を、私の第2の故郷である英国のことわざにあるように、“プディングの味は食べてみればわかる”(論より証拠)という言葉に例えて皆さんにお伝えしておきたいと思います。

(翻訳:山本敦)
AudioStreamのインタビュー記事より 原文

2014年6月27日金曜日

micro iDSDいよいよ発売決定!そして7月19日は・・・!!!

micro iDSDの発売日が7月19日に決定しました!

【Phile-web】iFI-Audio、「micro iDSD」正式発表 - 試作機よりスペック向上
【AV Watch】iFI-Audio、7万円を切るDSD 512/PCM 768対応ポータブルアンプ「micro iDSD」7月19日発売
【IT Media】DSD 512まで対応:トップウイング、仕様変更でパワーアップした「micro iDSD」を正式発表
【StereoSound】最大DSD 512/PCM 768に対応するiFI Audioのヘッドフォンアンプmicro iDSD
【Gaudio+PCオーディオfan】iFI-AudioがDSD512&DXD768kHz対応のDAC/ヘッドフォン・プリアンプ「micro iDSD」発売


そして、この日は中野で「ポタ研」!

ポタ研2014夏


さらに・・・
DSD256録り下ろし音源のついたNetAudio誌の発売日!


曲はTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの書き下ろし新曲「Visible invisible!」



モンスター降臨祭の準備はできた!!

micro iDSD開発(22)スーパー・デューパー仕様2.1(USBポート)

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月24日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-otw-1-audio-has-a-new-order-did-you-guess-correctly-page-71/990#post_10658655



CCK/OTG USBポート



背景
今日、ハイファイポータブルオーディオは隆盛を見ており、衰える気配はありません。回りを見渡して、どれほど多くのIEM(インイヤーモニター)が売られているかを見れば、移動時にオーディオを必要とする人の数の多さがわかるでしょう。

micro iDSDのクラウドデザインで、CCK/OTG接続が提案され、今それが実現しました。

説明
スマート機器をポータブルトランスポート+DACとして使うには、2つのオプションがあります。

1. Appleの場合:これにはCamera Connection Kit (CCK)があります。これは以前の30ピン・バージョンです。新しいUSBアダプターは9ピン・バージョンですが、どちらも基本的には同じです。

2. Androidの場合:サムスンからOn-The-Go(OTG)ケーブルが発売されています。

CCKとOTGは、どちらも一方に専用接続端子を、そしてもう一方にUSB “A”タイプのソケットを装備しています。


USB “A”タイプのソケットには、「通常は」短いUSBケーブルが付いていて、これがUSB “B”タイプのポートに接続できるようになっています(大半のDACはこのポートを装備しています)。

micro iDSDでは、これは不要です。というのも、micro iDSDはタイプ“A”プラグを装備しているので、CCKとOTGケーブルを直にmicro iDSDに接続することができるようになっているのです。

こんな感じです。



家のデスクトップのメインシステムで、USBケーブルでmicro iDSDに接続する時は、USBアダプターのどちらかを使えばOKです(どちらのアダプターもiDSDの箱に同梱されています)。



リスナーにどのような恩恵があるか
無比の利便性を備えた両方の世界の最高のものが手に入るのです。

ポータブルオーディオ = スマート機器 + CCK/OTG + micro iDSD > インイヤーモニター

デスクトップ&ホームオーディオ = コンピューター + USBアダプター + micro iDSD > ヘッドフォン&インイヤーモニター

追記
Apple用の再生プレーヤーソフトには、iTunes、Onkyo HF Player、Cappriccio、Hibikiなどがあります。
Android用の再生プレーヤーソフトは、もっとも使われているものを使うのがいちばんでしょう。USB Audio Player PRO (UAPP)です。

micro iDSD開発(21)スーパー・デューパー仕様2.0

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月22日の投稿------------

http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-otw-1-audio-has-a-new-order-did-you-guess-correctly-page-71/960#post_10653697


すでにnano iCANやmicro iCANを使ったことのある人には、これからmicro iDSDにも搭載されることになっているXBassの仕様は、おなじみのものでしょう。

しかし、そうでない人のためにこれを用意しました。興味深いと思いますよ。

XBass
(ヘッドフォンは、すべてが同じように作られているわけではないのです)

背景
「ラジオを聴いていると、私は場違いなところにいると感じる。
高音だけでは解消できない何かが、確かに失われているのだ。
私の顔を見れば、私の弱点を言い当てることができるよ。
私はすっかり低音に取り憑かれているのさ。」

The Puretones – “Totally Addicted to Bass”
ピュアトーンズ(イギリスのロックグループ)の「低音に夢中」 


「完璧な低音レスポンスを生み出すヘッドフォンはひとつとしてありません。」

説明
録音が異なれば、そしてヘッドフォンが異なれば、低音が不足していると感じることがよくあります。

低音があるべきか、ないべきか – それが問題だ、なんてことはここではありません
偉大な音楽を聴くのは、常にポジティヴな経験となります。最高に質素なシステムから最高に高額なシステムに至るまで、どのシステムも大きな楽しみをもたらしてくれます。しかしながら、ピュアトーンズの歌のように、もしも低音が適正でなかったら、「高音だけでは解消できない何かが、確かに失われている」のです。

ヘッドフォンによって、低音のパフォーマンスは大きく異なります。驚異的な低音を聴かせるヘッドフォンもあれば、完璧で公平な低音を聴かせるヘッドフォンもありますが、多くは低音が弱かったり、深刻なほど不足していたりします。これと製造コストには、直接的な関連はありません。むしろあまり高価でないヘッドフォンでも鋭い低音を持っているものもありますし、もっと高価でも低音が欠けているものもあるからです。もちろん、低音のパフォーマンスはヘッドフォンの音質の一要素にすぎないことは、言うまでもありません。

異なるヘッドフォンの代表的な周波数レスポンスです。


左端のものは“理想的なカーブ”を描いています。“ヘッドフォンはこうあるべき”という数値です。しかし、現実のヘッドフォンはこうはいきません。残りの3つは、“実際に売られている”ヘッドフォンの例で、低音のレスポンスが異なっていることを示しています。

左から2番目から見ていくと、現行製品のExample 1は非常に良好な低音です。
こういったヘッドフォンはきわめてまれです。

Example 2は低音に多少の減衰があります。これは、かなり高価なヘッドフォンでもよく見られる傾向です。このカーブはUS$1500のヘッドフォンのものです。このヘッドフォンはあらゆる点で優秀で、これまでに作られた中でも最高のものなのですが、それでも低音が若干欠けています。悪いとは言わないものの、常にもう少し低音がほしくなってしまいます。

Example 3は多くの小型ヘッドフォンの典型です。低音がはっきりとわかるほど欠落しています。最低域は、少しというレベルではなく、かなりの部分が“行方不明”状態です。こういったヘッドフォンははっきりと低域が欠落して聞こえます。うすっぺらで、ひ弱で、満足を与えてくれません。どうしてもある程度の修正が必要です。

示されていないもうひとつの可能性は、ヘッドフォンの中には非常にヘビーな、強調された低音を持っているものがあるということです。DJ用のヘッドフォンやある種のインイヤーモニターのタイプがこれにあたります。音楽や趣味によって、これは良いこととも良くないこととも感じられます。こういったヘッドフォンを聴く際は、ヘッドフォンアンプが非常に良好なダンピングファクターを持っていることが重要です。余分な低音が、ブーミーになることなく、うまく制御されるからです。実際のヘッドフォンがどんな感じなのかを示すために、HeadRoomによって計測された4つの異なるヘッドフォンの比較表をお見せしましょう。



iFiでは、多くのヘッドフォンが持つこの共通の低域の問題に気づいていました。奇妙なことに、最高の低音を持ったヘッドフォンが、最高にクリアな中域や最高のイメージングを持っていることはめったにありません。こういうわけで、ヘッドフォンを購入する時には、妥協を強いられることが多いのです。

i) ほぼすべてを備えているヘッドフォンを買って、低音は少しばかりあきらめるということもできるでしょう。プレーヤーのソフトウェアによって、イコライザーの機能を調節して、低音の欠落を補うこともできるでしょう。しかし、これではDSPを使用することになり、それでは音楽信号はもはやビットパーフェクトではなくなってしまいます。

ii) そしてもちろん、iPodやノートパソコンでは、限界が明白になります。出力パワーに限界があるので、イコライザーをかけた低音に必要な余分なパワーが供給できず、音が歪んでしまうのです。そうすると、ボリュームを絞らなければならなくなるのですが、その代わり失われた低音を少し取り戻すことができます。それでも、そんなに自然には聞こえないことが多いのも事実です。これらのイコライザーで、ヘッドフォンの欠陥を補うように適正に作られているものは、ほとんどないからです。

Enter XBass...
XBassの出番です…

リスナーにどのような恩恵があるか
もしも所有しているヘッドフォンに、深い、クリアな、堅固な低音が欠けていて不満を感じているなら、何か“エキストラ”なものが必要です。それが“エキストラバス”です。XBassは、“消失していた低音”を取り戻し、リスナーは望み通りのレベルを選ぶことができます。他のiFi製品と同様に、これはアナログ領域で実行されますから、音楽信号はオリジナルのままです

さらに、XBassはmicor iDSDのヘッドアンプに組み込まれていますので、歪みを生じさせることなく、低音を取り戻すのに十分なパワーを持っています。“エキストラバス”はタイトで、歯切れが良く、精確です。


XBassはmicro iDSDに組み込まれています(nano iCANとmicro iCANにも同様に組み込まれています)。スイッチをONにするだけです。特定のヘッドフォンや特定のトラックには合わないと思ったら、スイッチを切るだけです。

あなたのヘッドフォン&イヤフォンに最高の低音を実現したければ、XBassを検討してみてください。

2014年6月26日木曜日

micro iDSD開発(20)OTW(この世のものとは思えない) #2

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月19日の投稿------------
http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-software-design-update-5-three-filters-each-for-pcm-and-dsd-enjoy-it-your-way-page-71/885#post_10646012

Turbo/Normal/Eco + iEMatchで完璧なヘッドフォンの組み合わせを

背景
どんなオーディオシステムでも、アンプとトランスデューサーとのマッチングはもっとも重要です。

スピーカー市場では、スピーカー+アンプのマッチングは典型的に行われていて、うまく行っています。
つまり、パワーの弱いアンプは能率の高いスピーカーと組み合わせるのです。
その逆も同様で、強力なパワーのアンプは能率の低いスピーカーと組み合わせるのです。

しかしながら、ヘッドフォン市場では、ヘドッフォンとヘッドフォンアンプとのペアリングは、まったくと言っていいほど一貫していません。そのため、マッチングがうまくできていないのです。ヘッドフォンをドライブするのに十分なパワーがなかったり(印象の薄いサウンドになるのが典型です)、インイヤーモニターをドライブするのに莫大なパワーのヘッドフォンアンプを用いたり(ボリュームコントロールで音量を制御できず、あまりにヒスノイズが増えるというのが典型です)、ということになるのです。

説明
ヘッドフォン市場において、私たちは現在発売されている事実上すべてのヘッドフォンをテストしたのですが、その結果に私たちはショックを受けました。

現在販売されているヘッドフォンを調べたところ、もっとも能率の高いIEM(インイヤーモニター)と、もっとも能率の低いヘッドフォンでは、53dBもの差があることがわかったのです。これは絶対に莫大な開きです(うるさいディスコと静かな図書館ほどの差で、わずかとはとても言えません)。

この能率幅の一端にあるのが、HiFi ManのHE-6で、他のどんなヘッドフォンよりもパワーを必要とします。90dB/Vとされているこのヘッドフォン界の“ハマー“(アメリカの高級大型SUV)を適正なレベルでドライブするには、3000mWが必要になります。こういったものを低能率のヘッドフォンに分類しましょう。



ところで、市販されているK1000(AKG)のような旧来の製品は、クレージーなほど低い84dB/Vとされているのですから、これはもう“怪物”状態ですよね。


能率幅の反対の一端にあるのが、超高能率のIEMです。ゼンハイザーの IE800は、143dB/Vとなっており、これならiPhoneのわずか15mWでもドライブできます。デジタルボリュームを50%程度にしておけばOKです。それを越えると、耳に障害を与えるレベルになってしまいます。こういったものを超高感度IEMに分類しましょう。


 
こういったヘッドフォンやイヤフォンをすべて扱うことのできるヘッドアンプにはまだ出会ったことがありませんが、それは驚くにはあたらないでしょう。ましてや、ポータブルで、しかもヘッドフォンのすべての能率幅を扱うことのできるDACヘッドアンプなど、出会ったことがないのは言うまでもありません。

注意:db/mWは直接には比較できません。私たちはすべてのヘッドフォンの感度を1Vの信号に合わせて測定しましたました。iPhoneの最高出力に近いからです。

最高出力とヘッドフォンの完璧な組み合わせは、どう考えるのがベストか?
Micro iDSDは、4000mWの最高出力を持っています。

ポルシェ911ターボSは最高出力560bhpを誇っています。このパワーをすべてアスファルト道路に投入して、ドライバーが要求するとおりに道をグリップすることができるようになるために、ポルシェはSport Plus/Sport/Comfortというモードを用意しています(下のSportボタンを見てください)。その完璧なセットアップに照準を定めるために、ポルシェ・ダイナミック・シャーシ・コントロール(下のPDCCボタンを見てください)は、クルマのドライブトレーンの全体をさらにファインチューニングし、最高のグリップを確保しています。


micro iDSDはTurbo/Normal/Ecoのモードを持っており、 これらをiEMatchと連携して用いることによって、リスナーは使用するIEM及びヘッドフォンにぴったりと合ったモードを選ぶことができます。

猛獣を解き放ってやりましょう(micro iDSD  + あなたのヘッドフォンのことを言っているのですよ! 911ターボじゃなくて)

リスナーにどういう恩恵があるか
このOTW #2は、ヘッドフォンとmicro iDSDの完璧なマッチングについて述べているのです。

最初の最初から、ゼンハイザーの IE800からHiGFi ManのHE-6に至るまで、micro iDSDのパワーモード + iEMatchの組み合わせによって、リスナーは完璧なマッチングを選ぶことができるのです。



これが一例です:
HE-6: Power mode = Turbo and iEMatch = Off
IE800: Power mode = Eco and iEMatch = Ultra-Sensitivity 超高感度

これらはもちろん両極端の設定ですから、他のヘッドフォンやインイヤーモニターでは、パワーモード + iEMatchで異なった設定を調節し、ぴったりのものを選ぶようにしてください。



この設定がうまくいったら、micro iDSDのアナログボリュームコントロールは、12時あるいはそれを越える位置に上げることができます。このボリューム位置でmicro iDSDは最高の状態を発揮し始め、音楽を輝き渡らせるのです。

53dBの差について論じたことを覚えていますか? iEMatch + Ecoモードの“超高感度”からTurboモードに至るまで、iDSDで調節可能なゲイン幅は44dBです。これはつまり、SH IE800とHFM HE-6で同じ再生音量レベルを得るには、ボリュームコントロールを10dB調節すればよいということです。

micro iDSD開発(19)スーパー・デューパー仕様1.9(位相反転)

この記事は、micro iDSDの発売を控えたiFIのテクニカル・チームがHead-FIやFaceBookに掲載しているものです。

以下は6月18日の投稿------------


http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-design-software-design-update-5-three-filters-each-for-pcm-and-dsd-enjoy-it-your-way-page-71/855#post_10643380

信号の極性 +/−(デジタル入力のみ)


背景
時に「位相の反転」と言われることのあるこのテーマについては、意見は様々です。
たとえば、以下をご参照ください。

http://www.absolutepolarity.com/
http://www.positive-feedback.com/Issue1/cjwoodeffect.htm
http://www.polaritylist.com/
http://www.recordingmag.com/resources/resourceDetail/263.html
http://www.6moons.com/industryfeatures/polarity/polarity.html
http://www.herronaudio.com/images/Polarity.pdf

説明
極性を調整すると音に改善を感じる人もいれば、そうでない人もいます。
正しいとか間違っているということではないのです。主観的な好みの問題なのです。
AMRの経験から言えば、この仕様は、北米でいちばん喜ばれます。ヨーロッパやその他の地域ではそれほどではありません。

リスナーにどのような恩恵があるか
レコーディングごとに極性スイッチを試してみてください。

違いが聞き取れれば、それはすばらしいことです。極性スイッチによって、喜びが増すということですから。

違いが聞き取れなくても、心配は無用です。少数派というわけではないのです。極性スイッチをデフォルトの“+”(極性反転なし)にしたままでOKです。

iFiでは、リスナーに最後の数パーセントを選んでいただくようにしています。ですから、このボタンを指でぽんとはじいて、それが気に入るかどうかを確かめてください。気に入っていただけると思いますよ。