2015年4月13日月曜日

iFI Retro - Power is everything パワーこそすべて

しかし、最終的に真空管アンプを首尾良く作り出すのも、ぶちこわしてしまうのも、出力トランスなのです。そして私たちが使っているものは、黄金時代の、そしてまた現代の、どんなものよりも優れています。コンフィギュレーションにおいてストレートライン(トーンコントロールがバイパスされる)で使った場合、信号回路でそれより先にある唯一の素子は、モーター駆動される16ミリのAlps製ブラック・ボリューム・コントロールだけです。それだけなのです!



トーンコントロールを使う場合は、パッシヴ型のJamesタイプのネットワークを最適化したものを、ボリュームコントロールの前の回路やプリアンプ回路(これはmicro iCANに見られるA級チューブ・ステート回路に由来しています)に挿入します。ここでもまた、信号にとって重要なすべてのパーツに、MELF抵抗(MELF形炭素皮膜固定抵抗器)とC0G(積層セラミックコンデンサ)が使われています。

それでも、古くから言われていることがあります:「どんなアンプも、電源次第である」。ここが、私たちが決定的に伝統を断ち切っている点です。私たちは「レゾナント・パワー・コンバーター」と呼ばれるものを使っています。これは、評判の悪いことが多い(確かにそのとおりであることも多いのですが)スイッチ・モード・パワー・サプライ(SMPS)に、動作の点ではちょっと似ていますが、典型的なSMPSの激しいスイッチングや電流量の多いスイッチングは避けています。これによって、SMPSの音の問題の多くを避けることができるのです。

このパワー・コンバーターは非常に高周波で動作します。一般のACサプライよりもずっと高速で、レギュレーションも施されています。つまり、商用電源の電圧がどうであれ(85ボルトより下から265ボルトより上に至るまで)、公称電圧はきわめて安定しているのです。一般の真空管パワーサプライは、パワーを引き出すにつれて「たるむ」傾向にあり、これが真空管アンプの「ぼやけた低音」の原因だと言われることがよくあります。電源がレギュレーションされていれば、電源は、信号がないところから最高出力に至るまで安定し、その結果強固で引き締まった低音が確保できるのです。

これにはさらなる利点があります。私たちはヒーターと高圧電流のために信頼性の高いレギュレーションされた電圧を確保できるので、商用電源の電圧の変化に対処するための余剰な電圧を残しておく必要がありません。その代わりに、私たちは一般よりも大きなパワーを生み出す最大限のスペックの設計を行うことができます。出力のパワーが増したことで電源の電圧に降下がないので、同じ出力真空管を使ったクラシックな設計の場合よりも、アンプからもっと大きなパワーを生み出すことができるのです。

そしてもちろん、レギュレーションされた電源は、ノイズが非常に低くなっています。Retro Stereo 50はSN比が2.83ボルト出力時に95dB(A)以上になっています。

Source: AMR/iFi measured on AP2

これは、多くのクラシックな設計のアンプの70dB(A)程度のSN比に匹敵します。そして今日でさえ多くの伝統的な設計の真空管アンプは80dB(A)以上のSN比を確保しようと苦闘しているのです。



注:上記2つのグラフは、X軸とY軸がまったく同じですから、並べて適切に比較することができます。

さらに重要なのは、Retro Stereo 50のノイズは、すべて真空管ノイズ(「チューブ・ラッシュ」とよく呼ばれます)であり、商用電源の周波数のせいだとされることのあるハム成分が存在しません。実際の場面でこれが意味するのは、たとえばもしも90dB/W/mのスピーカー(たとえばRetroのシステムに組み合わされるLS3.5)がRetro Stereo 50に接続された場合、1メートルの距離でのどんなノイズも、可聴限界よりも5dBほど低いということなのです。

したがって、Retro Stereo 50の場合は、いっそう微妙なところで美しい音が確保されていることになります。細心のテクノロジーとクラシックな真空管設計を組み合わせて、世界で最良のものを生み出しているのです。クラシックな真空管ではありますが、多くの人が真空管から連想するネガティブな側面(ノイズ、帯域の制限、パワーの制限、ぼやけた低音)はないのです。
 
実のところ、優れたスポーツカーがそうであるように、エンジンを吹かせば吹かすほど、反応が良好になります。Nirvanaを再生したいですか? Retro Stereo 50はきっとこう言うでしょう。「そんな小さな音量で僕をくすぐるのはやめてくれ。さあ、どんどん音量を上げようぜ」。

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